ニュース 政治 作成日:2014年11月25日_記事番号:T00054027
統一地方選挙の投開票日が今週29日に迫る中、鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は24日、台中市で開かれた中部産業発展フォーラムに出席し、「今後必ず台中に投資する。胡志強市長(国民党)が再選すれば投資額をさらに増やす」と表明した。台湾最大の企業グループのトップが自社の投資計画と絡めて地方選挙で特定候補の支持を訴えたことに、野党陣営からは「行き過ぎ」との批判が出ている。25日付聯合報などが報じた。
郭董事長(右2)は先週末には台北市で連勝文候補の応援演説を行ったばかり。国民党陣営にとって力強い支援者となっている(24日=中央社)
鴻海は台中市に精密機械と工作機械の生産拠点「智動化創新園区」の建設に向け2,000億台湾元(約7,600億円)の大型投資を計画している。胡市長は先週、中台サービス協定の立法院審議が止まって以降、同投資計画がストップ状態になったと明かしていたが、郭董事長は、用地問題が解決すれば必ず投資を拡大すると強調した。胡市長は「鴻海に戻ってきてほしい」と応じた。
鴻海の台中投資としては、中部科学工業園区(中科)で7億元を投じたCNCコントローラーなど生産の賜福科技(FOXNUM)があり、郭董事長は、台中では今後、▽精密機械▽光学▽電気自動車▽ファクトリーオートメーション▽モノのインターネット(IoT)▽スマートシティー──の6分野で胡市長の産業政策を支えると強調した。
企業家100人が再選支持
郭董事長はさらに、苗栗県、台中市、彰化県、南投県、雲林県を1つの地域産業エリアとして統合する胡市長の中部産業発展計画に賛意を表し、「台中の発展には将来を見通し、産業の実態を把握している市長が必要だ」と訴えた。
同フォーラムには郭董事長の他、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)の卓永財董事長、金可国際集団の蔡国洲董事長、和大集団の沈国栄董事長ら、中部の企業トップ100人以上が出席し、胡市長再選への支持を表明した。
野党民進党の蔡英文主席は、「企業家としての立場を踏み外している」と郭董事長を批判した。郭董事長はこれに対し直接反論はしなかったものの、「米国の企業家は自身の政治的立場を表明している」と発言し、問題ないとの考えを示した。
「経済重視の有権者に影響」
25日付中国時報は、郭董事長の発言は、経済、雇用を重視する有権者の投票行動を左右する影響力があるとの見方を示した。民進党は郭董事長を批判しているが、そもそも民進党が立法院で中台サービス貿易協定など経済発展のための重要法案の承認を妨害してきたがために、郭董事長は表舞台で政治的主張をせざるを得なくなったと指摘した。
中興大学国家政策・公共事務研究所の袁鶴齢教授も、中韓自由貿易協定(FTA)の実質妥結は中科への影響が大きいため、郭董事長の発言は、一部の台中市民の票の掘り起こしにつながると指摘した。
一方、蔡民進党主席は「郭董事長の打ち出す経済テーマは、今回の選挙ではあまり大きな影響は及ぼさない」との見方だ。実際、企業家による地方選挙介入には、反感を抱く有権者も少なくないとみられる。
胡市長は選挙戦最終盤にきて、台中バス高速輸送システム(BRT)、23日に供用開始となった台中国家歌劇院、そして鴻海の投資促進と、経済・産業関連の実績や展望を強くアピールしている。こうした訴えが実を結ぶかはいよいよ29日に明らかになる。
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