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太平洋そごう経営権、民事で太平洋が逆転勝訴


ニュース 商業・サービス 作成日:2014年11月27日_記事番号:T00054064

太平洋そごう経営権、民事で太平洋が逆転勝訴

 百貨店大手、太平洋崇光百貨(太平洋そごう)の経営権をめぐる民事訴訟の差し戻し審で、台湾高等法院は26日、太平洋そごうの持ち株会社、太平洋流通投資(太流)の株式60%が章民強・太平洋建設集団総裁に帰属すべきだとする判決を下した。これまでの行政訴訟では、遠東集団(ファーイースタン・グループ)が経営権争いで勝利したとみられたが、今回の逆転判決で情勢は再び混迷してきた。仮に最高法院でも章総裁の主張が認められれば、太平洋そごうの経営権は再び太平洋建設集団に移る可能性がある。27日付工商時報が報じた。

 章総裁はこれまで、問題の株式は太流の董事長だった李恒隆氏に信託したもので、株式の実保有者は章総裁自身だと説明してきた。章総裁の担当弁護士は「判決は李氏が遠東集団と(増資などの)取引を行う権限がないことを確認したものだ」と指摘した。李氏に議決権の行使が認められない場合、遠東集団からの出資受け入れや章総裁の董事解任も効力を失うことになる。

 太流は増資前の資本金が1,000万台湾元(約3,800万円)で、李氏が2002年4月に株式の60%を取得したが、章総裁は株式取得資金として、600万元を太平洋そごうから借り入れた上で、取得株式を李氏に信託したと主張していた。今回の判決では、章総裁が02年10月に太平洋そごうに借入金600万元を返済した記録が残っていることから、章氏の主張に信用性があると判断された。

 一方、李氏は02年9月に遠東集団からの出資受け入れ決定後、問題の株式の保管を遠東集団の弁護士に依頼している。これについて判決は「章総裁と李氏に株式の信託契約が存在する以上、李氏に対する株式の返還請求権は存在する。保管中の株式を章総裁が受け取ることには法的根拠がある」と指摘した。

「正義に光が当たった」=太平洋建設

 今回の判決について、太平洋建設は「ようやく正義に光が当たった。太流が太平洋そごうから得る利益を従来の株主に帰属させる方向で努力する」などとコメントした。章総裁は「太平洋そごうの経営権争いの真相を明らかにするため、今後も努力していく」と述べた。

 一方、李氏は「上訴したい。判決はおかしなもので理解できない。」と話した。

 ただ、遠東集団による増資で太流の資本金は80億2,000万元に膨らんでおり、章総裁が株式を取り戻したとしても、現状は持ち株比率が0.00075%にすぎない。経営権を奪還するには、李氏主導による董事会、臨時株主総会の議決が無効であることを裁判を通じて証明しなければならず、太平洋そごうをめぐる経営権争いはさらに長期化が避けられない見通しとなった。

12年越しの泥仕合

 太平洋そごうは02年、創業当時から経営していた章総裁が、太平洋建設の財務危機を理由に売却を計画。知人の李氏に協力を要請し、李氏の提案によって持ち株会社、太流による経営に変更された。太流の株式60%を取得し、董事長に就任した李氏は、遠東集団の協力の下、同年9月21日に1人で太流の董事会と臨時株主総会を開催して遠東集団からの出資受け入れと章総裁の董事解任を決定。これにより遠東集団が太平洋そごうの経営権を手中にし、章総裁は追い出された。

 それを不服とする太平洋建設集団が提訴した結果、台湾高等法院検察署は09年12月、董事会と臨時株主総会の議事録は偽造されたものだと判断。経済部が翌年、遠東集団による太流の40億元の増資登記をいったん取り消した。

 その後、増資取り消しの正当性が争われた行政訴訟で、最高行政法院が昨年5月、増資登記に違法性はないと認める判決を下し、経営権争いは遠東集団に軍配が上がったとみられていた。