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頂新が台北101・台湾スター売却へ、食品業に集中


ニュース 食品 作成日:2014年11月27日_記事番号:T00054079

頂新が台北101・台湾スター売却へ、食品業に集中

 不正食用油事件で信用が地に落ちた頂新国際集団は26日、銀行の融資引き揚げに伴い事業計画の再構築を迫られたとして、今後台湾の優良資産を売却して、食品・流通の本業に専念する方針を発表した。これにより、台北金融大楼(台北101)の持ち株、台湾之星移動電信(台湾スターテレコム)、中嘉網路(チャイナ・ネットワーク・システムズ)などの事業が相次いで処分されるとみられる。今年第4世代移動通信(4G)事業に参入したばかりの台湾スターは、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコム)などが買収に関心を示しているという。27日付経済日報などが報じた。


遠伝が台湾スター買収に関心を寄せるのは、台湾大哥大(台湾モバイル)と鴻海の提携に焦りを感じているためとの指摘もある(27日=YSN)

 頂新集団に対しては、政府系銀行が社会に悪影響を及ぼす企業への融資を拒否する「赤道原則(エクエーター原則)」を適用し、返済期限が到来した融資は継続されないこととなった。頂新集団はこれにより資金繰りが苦しくなり、資産売却を迫られると率直に認めた。

 台湾スターは傘下に中嘉の運営会社、台湾之光を抱えており、頂新は台湾スターと中嘉をまとめて売却する意向とみられる。遠伝は700億台湾元(約2,700億円)で中嘉を買収し、さらに台湾スターの頂新持ち株52%を段階的に買い進めるとの観測が出ているが、同社広報担当者は「現段階で接触していない」と説明した。

 遠伝は30MHz(メガヘルツ)の4G周波数帯を保有しており、10MHzを持つ台湾スターを買収した場合、国家通訊伝播委員会(NCC)による35MHzの上限規定に触れることになる。また、中嘉の買収では政党、政府、軍による遠伝への出資が問題視されるため、徐旭東(ダグラス・シュー)遠伝董事長の個人会社が投資する手段以外に解決策はないが、今夏の中嘉争奪戦ではあくまで遠伝による買収にこだわった徐董事長の意向が鍵となる。

 郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海董事長は先日、合併を予定している亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)との会議で、台湾スターを買収する考えを示したという。業界では、台湾スターの買収に最も積極的なのが遠伝で、鴻海も意欲が高く、一方、頂新の食品安全革新委員会で臨時召集人を務める潤泰集団(ルンテックス)の尹衍樑総裁が引き受ける可能性もあるとの見方が出ている。

台北101、大手金融機関が関心

 台北101の頂新持ち株分37%について張盛和財政部長は、プライベートファンドなどに引き受けを打診するが、政府系銀行が購入することはないとの考えを示した。

 現在出資を行っている中国信託金融控股(中信金、CTBCフィナンシャル・ホールディング)と国泰金融控股は、「現段階で頂新から打診はないが、機会があれば検討する」との立場だ。

 このうち中信金は、台北101の将来にわたっての投資先としての魅力と、頂新による売却価格が鍵になるとの見方を示した。

味全は主導権確保 

 頂新は今後台湾では、▽味全食品工業と関連事業▽ファストフードチェーンの徳克士(ディコス)▽ベーカリーの布列徳(ザ・ブレッド)▽スーパーマーケットの松青超市(マツセイ)──に運営事業を絞ることになる。

 味全では先日、魏家一族が経営陣から退いたが、出資の引き揚げは行わず、経営権と所有権を分離することで引き続き主導権を確保する考えだ。 

 味全は売り上げの大きな部分を占める牛乳、林鳳営鮮乳がボイコットに遭うなど売上高が3〜4割落ちており、同社は「以前の水準に戻るにはしばらく時間がかかる」との見方を示した。

【表】