ニュース 社会 作成日:2014年12月1日_記事番号:T00054125
国民党が歴史的な惨敗を喫した今回の統一地方選挙の結果が、事前にメディアなどが行った予想を大きく裏切ったことが話題となっている。原因としては調査対象に携帯電話ユーザーや出身地に本籍を残したまま都市部で働く市民が含まれていなかったことが挙げられており、既存の世論調査の手法の課題が浮き彫りとなった形だ。
今回の選挙では国民党寄りのメディアのみならず、これまで比較的信頼度が高いとされていた民進党寄りのメディアでも予想を大きく外す結果となった。
台中市長選と彰化県長選は事前の世論調査で接戦が予想されていたものの、ふたを開けてみれば、台中市では民進党の林佳龍候補が国民党の現職、胡志強候補に20万票以上の大差で圧勝。彰化県でも民進党の魏明谷候補が予想を大きく上回る10万票の差を付けて当選した。
さらに桃園市と新竹市では、民進党候補が国民党候補に10〜20%のリードを許しているとの世論調査が示されていたが、実際にはいずれも民進党候補が勝利。予想外の結果に民進党の選挙対策本部からも「宝くじに当たったみたいだ」といった声が上がっている。
予測が大きく外れたことについて輔仁大学統計資訊系の張邦昌教授は、現在世論調査では無作為に抽出した電話番号を基にアンケートを実施する手法を採っているが、その対象は固定電話のみで携帯電話は含まれていないことが背景にあると指摘。現在、固定電話の使用者が減る一方なのに対し、携帯電話は特に若者はほぼ100%が所有しているにもかかわらず、調査の対象となっていないことが調査結果の正確性に影響を及ぼしているとの見方を示した。
この他、同様の調査手法では投票権のある本籍地を離れて働く市民も対象とはならないが、今回の選挙では帰省して投票した若い有権者が多かったもようで、予想を覆す大きな要因となったとみられる。
また台湾大学政治系の王業立教授は、今回の選挙の世論調査では調査を受けた市民のうち、自身の投票行為について態度を明らかにしなかった比率が高かったと指摘。こういった有権者はちょっとしたきっかけで投票先を変えやすく、その動向をつかみきれなかったことが開票結果との間に落差が生まれた原因の一つだと分析した。
なお中央研究院・政治学研究所の呉重礼研究員は、社会に不満を抱く層は自身の政治的な考えを明らかにしたがらない傾向があるとした上で、台湾では政治的な立場を公にしない20〜40歳の有権者が多いが、これら世代の間には経済成長の恩恵が感じられないことで政府に対する不満が高まっており、今回の選挙がはけ口となったとの見方を示した。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722