ニュース 政治 作成日:2014年12月1日_記事番号:T00054142
統一地方選挙で与党・国民党が空前の惨敗を喫し、江宜樺行政院長が引責辞任したことを受けて1日、内閣総辞職が行われた。次期内閣発足までは重要政策の方針を決められない上、馬英九政権による対中交流拡大政策が否定されたも同然の結果となったため、中国との物品貿易協定交渉に遅れが生じる他、今月下旬に予定される中台間の金融政策協議も延期されないかと懸念の声が出ている。1日付工商時報などが報じた。
総辞職した江内閣。就任間もない杜経済部長は、今後の中国との貿易交渉が進展困難に陥ることを懸念してか、留任する考えはないと表明した(1日=中央社)
行政院は1日午前、臨時閣議を開き、江行政院長を含め36人の政務官が辞任した。馬総統の承認後、新たな内閣が発表される。行政院長は毛治国副院長が暫定代行を務める見通しだ。
馬総統は12月3日に国民党主席辞任を表明するとの観測が浮上しており、その通りとなれば与党主席と行政院長が同時に辞任する異例の事態となる。国民党主席は呉敦義副主席(副総統)が代行するもようだ。
「国際競争力に大打撃」
中国と韓国が来年4月までに自由貿易協定(FTA)を結ぶ見通しの中、経済部は今月12日に中国と中台物品貿易協定の技術会合を開き、液晶パネル、石油化学製品、自動車、工作機械の4項目で韓国よりも有利な輸出条件を引き出す目算だった。しかし、国民党惨敗と内閣総辞職により同協定の交渉が遅れる可能性が出てきた。
杜紫軍経済部長は、馬総統の任期中に中台物品貿易協定を締結できる可能性は低くなったと指摘。交渉遅延により台湾の国際競争力は大きな打撃を受けると懸念を示した。
金融会合、対中姿勢が変数
金融監督管理委員会(金管会)は現段階で、今月24〜26日の中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC)、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)、中国保険監督管理委員会(保監会)との会合を予定通り開催する予定だ。
金管会は24日の証監会との会合で適格海外機関投資家(QFII)制度での投資枠拡大など、25日の銀監会との会合では台湾系銀行の中国拠点設置に対する認可加速など、26日の保監会との会合では協力拡大について協議する予定だ。ただ、これも国民党が対中政策の調整を図るのか、中国側の台湾に対する姿勢に変化が起きないのかが変数となる。
高鉄、財務改善間に合わず
内閣総辞職によって内政も遅延する恐れが出ているため、葉匡時交通部長は「台湾高速鉄路(高鉄)は来年破産する」と懸念を示した。
高鉄の特別株を保有する株主が同社に買い戻しを求めた裁判の二審判決が来年3月に下る予定で、高鉄敗訴となれば特別株の買い戻しと未払い配当の支払いに計540億台湾元(約2,100億円)が必要となる。葉交通部長は、内閣総辞職の影響によって高鉄の財務改善プランを来年1月に始動できなければ、現在資本金500億元余りの高鉄は来年必ず破産すると述べた。
補助金3千億元の約束ほごに?
江行政院長は選挙期間中に各県市の国民党候補に対し政府補助金約3,000億元の支出を約束したが、これがほごになる可能性も指摘されている。
江行政院長は基隆市長選で落選した国民党の謝立功候補に対し、同市の建設経費として150億元の補助金支出を約束した他、都市交通システム(MRT)民生汐止線(全長17.39キロメートル)の建設計画をめぐって、謝候補が主張した同路線から基隆市への延伸について実現可能性評価(FS)を行うよう台北市政府に指示していた。経費は1,159億元に上る。また、台中市では胡志強市長(今回落選)に対し800億元の建設補助金を約束していた。
孫立群行政院報道官は、行政院に提出された地方の建設計画は全て国家発展委員会(国発会)による評価を終えているため、江行政院長の辞任によって計画が中止となる心配はないと説明した。
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