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桃園航空城、首長交代で遅れ懸念


ニュース 建設 作成日:2014年12月3日_記事番号:T00054196

桃園航空城、首長交代で遅れ懸念

 桃園国際空港と周辺の大型開発計画「桃園航空城」の推進が、桃園市長選挙を経ての首長交代によって遅れが生じる可能性が出てきた。同計画は今年7月に内政部営建署が都市計画案を認可し、2段階方式で開発を進めることが確定したばかりだが、国民党現職を破って当選を果たした鄭文燦氏(民進党)が、用地の買収範囲縮小など見直しを図る方針を示しているためだ。鄭氏は同計画で発覚した汚職事件などを問題視し、計画の「透明化」を図ると宣言している。3日付工商時報などが報じた。


桃園市長選挙は、大方の予想を覆して鄭氏が勝利した(中央社)

 同計画は馬英九政権が掲げる公共建設プロジェクト「愛台12建設」の一つで、2009年1月に推進の法的根拠となる「国際機場園区発展条例」が立法院を通過している。桃園空港内の第3ターミナル、第3滑走路、自由貿易港区、空港専用区の「空港エリア(通称・黄身)」を中央政府が、その周辺の倉庫、物流、航空関連、住宅、商業などの「特定エリア(通称・白身)」を桃園県政府が主導で進めてきた。計画案が認可された現在、用地の買収段階に入っており、段階的な開発を進め、20年の完成予定だ。2兆3,000億台湾元(約8兆8,000億円)の経済効果を見込んでいる。

市民の意見尊重

 今月25日に直轄市として新たなスタートを切る桃園市の初代市長の座に就く鄭氏は2日、同計画について、「選挙前から支持しており、その考えに変わりはない」と語ったが、透明性やしっかりとした理念が足りないと指摘。進度も遅く地価高騰を招いていると強調した。そのため、専門家を招いた審議や市民が進度を把握できるシステムを構築し、透明化を図ると強調。一部地域の住民は現在のコミュニティーを維持した移転を望んでおり意見を尊重したいと述べ、詳細な調査を行う方針を示した。

 また、一部地主が計画範囲に入ることを望んでいないとされ、鄭氏は用地買収範囲を縮小する意向だと政府関係者は指摘した。また、地主に対し補償として供給する開発後の土地の価額を、接収した用地価格の40%から45%へ引き上げることも検討しているようだ。計画では3,155ヘクタール(約7,800戸)が接収範囲だ。事実であれば、計画内容変更に伴い、都市計画案を再度営建署に提出、同意を得る必要もあり計画が遅れることは必至だ。それに加え、年内に行う予定だった地価の算定も進まない上、買収費用が増加し、財源の確保が課題となる。

「外資誘致に黄信号」

 桃園県政府と合同で外資系企業の誘致を進めてきた経済部からも失望の声が上がっている。米ザ・アウトレット・カンパニー(TOC)と華泰大飯店集団(グロリアホテルグループ)提携の大型アウトレットモール、華泰名品城(グロリアアウトレット)が台湾高速鉄路(高鉄)桃園駅近くで着工した他、航空城の将来性を見込む外資系企業は多い。しかし、地元自治体の首長交代で計画に変更が生じる事態となれば、外資系企業の投資の手が緩む可能性は否定できないと経済部関係者は指摘した。

【表】