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延平郡王祠に落書き、「古蹟ではない」理由に不起訴


ニュース 社会 作成日:2014年12月26日_記事番号:T00054623

延平郡王祠に落書き、「古蹟ではない」理由に不起訴

 台南市にある、鄭成功を祭ったほこら「延平郡王祠」に落書きをしたとして男性が検挙され、「古蹟毀損(きそん)」容疑で送検されたものの、同ほこらは「古蹟」ではなく「歴史建築」に当たるとして不起訴となった。

 延平郡王祠、別名「開山王廟」は、鄭成功が1662年に死去した際、その功績をたたえて創建されたもの。1875年に新しいほこらに建て替えられ、日本統治時代には鄭成功を祭神とする「開山神社」に改められた際、日本式の拝殿が作られたものの中国風のほこらもそのまま本殿として残された。

 しかし第二次世界大戦後、台湾に移った中華民国政府によって全て取り壊され、新たに中国北方風の鉄筋コンクリート建築に建て替えられた。このため建物自体は比較的新しいものであることから現在、古蹟には認定されておらず「歴史建築」に指定されるにとどまっている。

 その延平郡王祠を今年6月に訪れた観光客が、壁面にマジックペンで「打死馬英九(馬英九殺す)」と書かれた落書きを発見し、警察に通報。監視カメラを調べた結果、73歳の男性が容疑者として浮かび上がり、本人も犯行を認めたため「古蹟毀損」容疑で送検した。

 しかし法律には「古蹟を破壊してはならない」と記されているのみで、「歴史建築」については言及されていないとして検察はこのほど、不起訴を決めた。

 この他、台南市では23日、元立法委員の魏耀乾氏が市内の公園にある蒋介石元総統の彫像に白のペンキを塗り、さらに背中部分に「二.二八凶首(228事件の元凶)」などといった文句を書き入れるという事件が起きた。

 しかしこちらでも検察は「蒋介石元総統の彫像は『公共物』ではなく『一般物』」と判断。地元自治体も告訴しない考えを示したことから魏氏は釈放された。

 台湾の古い建築物や銅像は歴史的経緯から争議の的となりがちで、特に台湾アイデンティティーの強い南部では、検察は事件の取り扱いに気を使うことも多そうだ。