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台湾LED大手、今年は増産加速


ニュース 電子 作成日:2015年1月5日_記事番号:T00054696

台湾LED大手、今年は増産加速

 発光ダイオード(LED)業界の再編が一段落し、台湾大手が積極姿勢に転じている。晶元光電(エピスター)はこのほど、台湾積体電路製造(TSMC)のLED照明子会社を買収した上で、TSMCから5~10%の出資を受けるとの市場観測が浮上した。億光電子工業(エバーライト・エレクトロニクス)は昨年12月、ロイヤルフィリップスの2015年度分を落札したとされ、黒字転換に向け、LED照明の受託生産を強化するようだ。中央社などが報じた。

 エピスターの李秉傑董事長は、今年のLED照明需要は25億個以上と、昨年の10億~15億個から倍増する見通しで、高い市場シェアを誇る同社はもちろん恩恵を受けると話した。エピスターは昨年12月30日、璨円光電(フォルモサ・エピタキシー)の買収手続きを完了し、自社用以外のエピタキシャルウエハー生産能力で世界最大手に浮上した。さらに、TSMCの子会社、台積固態照明からMOCVD(有機金属気相成長法)装置を買い取り、その後、TSMCを引き受け先とする新株発行を行うとの市場観測が出ている。張世賢エピスター副総経理は「コメントできない」としているが、計画は1月中に確定するとみられている。

 TSMCの主管はLED投資について、直接投資から間接投資への方針変更を明かした。台積固態は2011年8月の設立以来赤字続きで累積損失が55億台湾元(約210億円)に上るため、TSMCが売却したがっているのは公然の秘密で、エピスターや鴻海科技集団(フォックスコン)に話を持ち掛けたとされる。実現した場合、TSMCは万海航運(ワンハイラインズ)グループの出資比率7%を上回り、エピスターの筆頭株主になる可能性がある。

 一方、エバーライトは昨年末、5年で300億元を投じる増産計画を表明した。業界では、同社は自社ブランド照明に限界を感じており、国際ブランドの受託生産を拡大することが目的とみられている。

中国政府の補助打ち切りへ

 LED大手の増産計画の背景には、中国政府が地方政府に対しMOCVD装置の補助打ち切りを命じたこともある。業界関係者は、補助がなくなれば、中国市場は公平な市場競争に戻り、LEDチップの供給過剰が緩和すると期待している。

 過去2年、国際ブランドのスリム化や撤退が相次いだことで、世界市場も秩序を取り戻しつつある。シーメンスは2013年に照明子会社のオスラムをスピンオフ(分離・独立)、フィリップスは昨年6月にルミレッズなどのスピンオフを、同年9月に照明部門のスピンオフを発表した。サムスン電子は海外LED照明市場からの撤退、LGエレクトロニクスは南京パッケージング工場の処分を発表している。

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