ニュース 運輸 作成日:2015年1月8日_記事番号:T00054780
立法院交通委員会は7日、台湾高速鉄路(高鉄)の財務改善プランを否決した。交通部は、高鉄は早ければ3月にも破産し、5月20日にも接収手続きに入ると予測を示した。葉匡時交通部長と范志強・高鉄董事長は引責辞任を表明した。台湾で初めてのBOT(建設、運営、譲渡)案件の接収ケースとなる見込みで、運賃引き下げの見通しも立たないが、行政院は「正常な運行維持」を指導すると強調した。8日付経済日報などが報じた。
葉匡時交通部長は7日がちょうど58歳の誕生日だったが、「めでたくない」と話した(7日=中央社)
2007年開通の高鉄は建設費4,600億台湾元(約1兆7,000億円)で、当時世界最大のBOT方式プロジェクトだった。設立時の5大株主の資金では足りず、03年に500億元の特別株を発行した。10年以降、普通株に転換した以外の392億元の償還期限を迎え、配当は141億元に上るものの高鉄は財政難で、買い戻し・配当を求めて39件の訴訟が起こされた。大陸工程(コンチネンタル・エンジニアリング)など4件の訴訟は二審で高鉄が敗訴しており、3月にも35億元の支払いを求めた訴訟の最終判決が下される予定だが、高鉄の現金は18億元しかない。
交通部は高鉄の破産を回避するため、昨年10月から財務改善プランを推進していた。35年の事業権をさらに40年延長する他、銀行団の管理下にある専用口座に預けている資金439億元を特別株の買い取りに充て、減資後に増資を行うことで、政府系株主が経営の主導権を掌握しつつ株式を公開、高鉄の年間支出を71億元減らす目算だった。
野党民進党は、事業権の40年延長は設立時の5大株主に対する利益供与に等しいと指摘し、国民党の立法委員も18対0で財務改善プラン不支持を決めた。立法院交通委員会で与野党は5大株主が増資するべきと主張して、財務改善プランを否決した。
接収に3861億元
交通部は、もし3月に高鉄が破産すれば、80日間の改善期間を経て、早ければ5月に接収手続きに入る計画だ。接収には1年以上、3,861億元かかるとみられている。1年後にはOT(運営・譲渡)方式で、外部に経営を委託する予定だ。接収をスムーズに進めるため、来週にも奨励民間参与交通建設条例の改正案の可決を目指す。
サービス低下に懸念
ある市民は、交通部が接収したとしても台湾鉄路(台鉄)のようにダイヤの乱れが常態化しなければ、値下げしなくても構わないと話した。
台湾大学土木工程学系の張学孔教授は、現在の経営陣でのサービス品質は高いが、外部に経営を委託すれば、同じ水準を保てるか不明だと指摘した。
高鉄は台北~左営(高雄)の8駅を結ぶ南北の大動脈で、毎日128~154便を運行しており、1日当たりの平均乗客数は延べ13万1,000人。運賃は台北~板橋が45元、台北~左営が1,630元。従業員は3,500人だ。
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