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TSMC最高益、16ナノに強気見通し維持


ニュース 電子 作成日:2015年1月16日_記事番号:T00054952

TSMC最高益、16ナノに強気見通し維持

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が15日発表した2014年連結純利益は前年比40.2%増の2,638億台湾元(約9,700億円)で台湾の上場企業として史上最高となった。張忠謀(モリス・チャン)董事長は、16ナノメートル製造プロセスの量産時期を今年6月へと予定より1カ月前倒しし、来年はライバルを大幅にリードすると述べ、アップルのプロセッサー「A9」をめぐるサムスン電子との競争に強い自信を感じさせた。16日付経済日報などが報じた。


張董事長の発言を目当てに多くの証券会社が業績説明会に出席したが、説明と質疑応答は劉徳音、魏哲家の両執行長にほぼ任された(15日=中央社)

 TSMCの昨年連結売上高は前年比27.8%増の7,628億元で過去最高だった。昨年第4四半期連結売上高は前期比6.4%増、前年同期比52.6%増の2,225億2,100万元、純利益は前期比4.8%増、前年同期比78.5%増の799億9,100万元でともに四半期としての過去最高となった。台湾元安を受け為替差益が約57億元に上った。第1四半期連結売上高は例年の非需要期のため、証券会社は前期比5~9%減を予想しているが、同社は前期と同水準を維持すると見通しを示した。今年通年では前年比16%増、9,000億元もあり得ると証券会社はみている。

 同社の昨年の過去最高更新は8項目に及んだ。連結売上高、純利益のほか、▽粗利益、3,775億8,800万元▽生産能力、12インチ換算で820万枚▽出荷枚数、非公表▽20ナノプロセス進度、昨年第4四半期の売上高構成比20%に▽納税額、予測360億元▽従業員数、4万3,000人──。

 悲観的な見方も出ていた同社の好業績に外資はすぐさま反応し、15日夜のニューヨーク株式市場で、同社の米国預託証券(ADR)は8.69%上昇した。

「A9」大量受注?

 張董事長は、アップルの「A9」受注についてはコメントを避けたが、以前説明した通り、▽TSMC16ナノの今年の市場シェアはライバル企業の14ナノを下回る▽同社の16ナノと20ナノを合わせた市場シェアはライバルに大きく差を付ける▽16年に同社は16ナノだけでライバルを圧倒する──という見方に変わりはなく、来年は同社の16ナノプロセスの市場規模が前年より大きく拡大すると付け加えた。

 張董事長はまた、ファウンドリー世界首位の座は今後も変わらず、アップル、クアルコム、エヌビディア、深圳市海思半導体(ハイシリコン・テクノロジーズ)など大手の受注が手中にあると強調した。

統合型InFO、アップルが初採用か

 同社が同日発表した今年の設備投資計画は115億~120億米ドルで、台湾ハイテク業界で過去最高、インテルを初めて上回る見通しだ。昨年は95億2,200万米ドルだったため、前年比21~26%増える。今年は8割を28ナノプロセス以降の先進プロセスに、1割を成熟プロセス、パッケージング・テスティング(封止・検査)に充てる。

 劉徳音・共同執行長は、顧客と10ナノプロセスを研究開発(R&D)している最中で、年内にテープアウト(設計完了)したいと述べた。年末に製造プロセス認証を得、来年に試験生産、17年に量産に入るスケジュールで、10ナノプロセスが17~19年における売上増のけん引役になると語った。

 同社が開発した統合ファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(InFO-WLP)技術は、第1世代の製品が認証を取得し、来年上半期に16ナノプロセスで量産に入る予定だ。第2世代技術は10ナノプロセスで17年以降に量産する見通し。外資系証券会社は、アップルが一番乗りで採用すると予測している。

【図】