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消防士6人の殉職、指揮官に過失か


ニュース 社会 作成日:2015年1月22日_記事番号:T00055035

消防士6人の殉職、指揮官に過失か

 20代の若手消防士6人が死亡した桃園市のボーリング場火災事故について、現場指揮官の判断ミスが6人の命を奪ったとの疑惑が浮上している。


遺族から真相の早期究明を求める声が上がっている(22日=中央社)

 今回の事故で亡くなった消防士とともにボーリング場内で救助・消火活動に当たり、幸運にも脱出に成功して一命を取りとめた同市消防局・新坡分隊の黄裕翔隊員(21)がこのほどメディアの取材に応じ、当時の様子について説明した。

 それによると、黄隊員は出火元を特定せよとの命令を受けて他の隊員とともに消火ホースを携えて建物の2階で任務を遂行していたが、現場の温度が上昇し続けていたことから先輩の謝君杰隊員(草漯分隊、29)に「撤退しましょうか」と尋ねた。

 謝隊員は「指揮官の命令を待て」と答えたものの、間もなくして無線から「停水する。撤退せよ」との指示が聞こえ、ホースへの水の供給が途絶えたため、「すぐに場外へ逃げるぞ」と叫び、他の隊員とともに撤退を開始した。この時、現場は暗闇で方向を確認することができず、自分たちが携えてきたホースをたどって脱出するしかなかった。

 ところが給水が止められたホースは平らとなり、分厚い手袋を着用した消防士の手では探り当てることができず、途中で退路を見失ってしまった。その後、黄隊員は仲間とはぐれてしまったが、壁伝いに何とか1階に降りることができた。しかしその直後に2階から轟音が響き、謝隊員ら同僚の命が奪われた。

 黄隊員はホースへの給水を止める判断をしたことが6人の死亡につながったとみているが、これに対し現場の指揮官を務めた湯佳興・新屋分隊長(33)は「停水命令は出していない」と否定。消防局も21日に当時の無線記録を公開し、そのような指示はなかったと説明した。

 ただ消防隊員の権利保護団体は「隊員の殉職に関する調査は第三者が行うべきで、消防局のやり方はプレーヤーが審判を兼ねるのと同じだ」と批判している。

 なお調査の結果、同ボーリング場は地元消防隊のボランティア隊員が経営しており、土地の使用規定、建築法、営業規定を違反していたにもかかわらず、過去14年にわたり当局からの安全検査に合格していたことも分かった。経営者が消防隊関係者ということで違反が放置されていた可能性も浮上している。