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台北ドームBOT、柯市長と遠雄が契約見直しで合意


ニュース 建設 作成日:2015年1月22日_記事番号:T00055060

台北ドームBOT、柯市長と遠雄が契約見直しで合意

 柯文哲台北市長と遠雄企業団(ファーグローリー・グループ)の趙藤雄董事長は21日会談し、台北ドームを中核とする台北文化体育園区BOT(建設、運営、譲渡)契約について、契約内容の見直し、および年末の完工など4項目で合意した。柯市長は昨年12月の就任以来、鴻海科技集団(フォックスコン)をはじめ大企業の関係する複数のBOT計画に対し問題点の洗い出しを進めており、遠雄の二の舞いとなる懸念から、建設業界からは公共事業への投資意欲が減退するという不満の声も相次いでいる。 22日付工商時報が報じた。


柯市長(後)は趙董事長(前右)に対し、「あなた1人で葉世文被告(元内政部営建署長・元桃園副県長。遠雄からの収賄罪で昨年7月に起訴された)10人分だ」と語り、社会の目に注意するよう促した(21日=中央社)

 遠雄は柯市長に対し、今年末には完工させると約束したほか、▽街路樹の移植は台北市政府が発表するSOP(標準作業の手順)に従う▽地下連絡通路は環境保護団体、国父紀念館と協調し、設計図を修正する▽台北MRT(都市交通システム)国父紀念館駅5番出口と通風口移設の工期が迫っており、早急に詳細な設計計画を提出する──とし、台北市政府も協力を表明した。

 台北市の林鶴明報道官は契約見直しについて、現契約の第23.4條に基づき、台北市政府と遠雄巨蛋事業が各自設けるプロジェクトチームが直接連絡を取り合い、規定や変更の準備作業を進めると説明した。

 また、台北ドーム事業は2009年に監察院より、▽不備未改善の違約金引き下げなど、履行事項の緩和や取り消しが促進民間参与公共建設法(公共建設民間参入促進法)違反▽臨時使用計画の提出期限を「1カ月前」から「事前」に変更するなどで、台北市政府の監督権が限定、縮小──など39項目の是正要求を受けており、遠雄と台北市による契約見直しに伴い協議を行っていく。

 両者の非公開会談は同日午後8時半から1時間半にわたった。当初、趙董事長がこれまでの苦労を考慮してほしいと持ち掛けたが、柯市長が「過去のやり方はもう通用しない」と告げ、30分間席を外す場面もあったという。

BOTに疑問視

 柯市長が台北市内で以前決定されたBOT計画に汚職を疑っていることについて、張盛和財政部長は21日、もし問題があれば暴かなければならないが、BOT方式自体が悪いのではなく、その貢献は全面否定できないと語った。

 台北市電脳商業同業公会(TCA)理事長を務める童子賢・和碩聯合科技(ペガトロン)董事長は、BOT方式では政府が監督責任を逃れられるため、見直しが必要と指摘した。工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は、訴訟を恐れ、台北市政府のBOT計画に参画する企業がなくなると述べた。

 柯市長が名指ししているBOT計画はほかに、▽富邦金融控股の複合商業施設「松山文創園区」(既にオープン)▽鴻海科技集団の3C(コンピューター、通信、家電)製品販売店「三創生活園区」──などがある。