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鴻海4G戦略に暗雲、亜太電信との合併申請差し戻し


ニュース 電子 作成日:2015年1月29日_記事番号:T00055200

鴻海4G戦略に暗雲、亜太電信との合併申請差し戻し

 鴻海科技集団(フォックスコン)による第4世代移動通信(4G)サービス参入計画に暗雲が立ち込めた。同社の計画では、傘下企業で4G免許を取得した国碁電子(アンビット・マイクロシステムズ)と、既に4Gサービスを展開している中堅通信キャリア亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)の合併が認められることが必須のステップだが、国家通訊伝播委員会(NCC)は28日、合併申請を差し戻す判断を下した。これによりアンビットは今年6月3日の期限までに4Gサービスを開始できるか微妙な情勢となり、鴻海は戦略の練り直しを迫られる可能性が高まった。29日付経済日報などが報じた。


4Gユーザー数340万件の目標を掲げる亜太電信だが、3月の公聴会の結論が今後の展開の鍵を握りそうだ(29日=YSN)

 亜太電信は4Gサービスで、業界大手の台湾大哥大(台湾モバイル)とのローミング提携によって台湾全土で97%の高いカバー率を実現、業界最安値プランを展開しているが、中華電信、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコム)など同業他社は不公正な競争を行っていると抗議しており、NCCも問題視した。

 NCCの何吉森主任秘書は差し戻しの理由について、亜太電信はサービスの在り方が争議を呼んでいるにもかかわらず、合併後の台湾モバイルとの提携範囲、手法や消費者の権利保証などが事業計画に盛り込まれていなかったと説明した。NCCは従来、合併申請に対し補足資料の提出や説明を求めたことはあったが、差し戻しの判断を下したのは初めてで異例のケースだ。亜太電信はこれに対し、NCCから正式な書面を受け取った後、すぐにでも再申請すると説明した。

4G規則改正で公聴会

 NCCは、4Gサービス開始以降、実務上の法令争議が持ち上がっていることなどを踏まえて「行動寛頻業務管理規則」(モバイルブロードバンド業務管理規則)を改正することを決めており、これに向けて3月末までに公聴会を行い、通信キャリア各社や交通部など関係省庁から意見を募る予定だ。公聴会では、合併の審査基準、合併後の履行義務や消費者権益の保護が議論されるほか、ローミング提携も議題に上がるとみられ、亜太電信と台湾モバイルの問題に決着がつく見通しだ。

アンビット、4G免許取消も

 アンビットと亜太電信の合併申請は、見直された規定に基いて審査されるとみられ、認可されたとしても早くて第2四半期初めになる見通しだ。認可されない場合、鴻海による4G参入計画は一から練り直しを迫られる。なお、アンビットは免許取得から半年後の6月3日までにサービスを開始する必要があり、できない場合は免許取消が待ち構えている。

 また、NCCの審査スケジュールに対応するため、アンビットと亜太電信の株主は、6月30日に予定されている合併基準日を新たに決め直す必要に迫られる可能性もある。