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《復興機墜落事故》民航局が徹底調査を言明、運航停止処分も


ニュース 運輸 作成日:2015年2月6日_記事番号:T00055361

《復興機墜落事故》民航局が徹底調査を言明、運航停止処分も

 わずか半年間に2回の旅客機墜落事故を起こした復興航空(トランスアジア航空)に対し、運航停止処分が下される可能性が出てきた。交通部民用航空局(民航局)は5日、同社に対し再度徹底的に調査を行い、6月までに問題点の改善が見られなければ罰金、最悪の場合は運航停止処分も辞さないと強い姿勢を示した。消費者文教基金会(消基会)によると同社は過去13年に11回もの事故を起こしており、元パイロットなどからはコスト最優先で安全性をおろそかにしていたと批判されている。こうした企業体質に徹底的なメスが入ることが求められる。6日付中国時報などが報じた。


林明昇・復興航空董事長(中)は謝罪会見で4回頭を下げた。成長優先の拡大路線が大きな代償を生んだといえる(5日=中央社)

 復興航空は昨年7月の澎湖での墜落事故(48人死亡)を受け、民航局の立ち入り検査を受けている。検査内容は、▽オペレーション▽操縦士の訓練・試験▽組織の機能▽安全管理・品質システム▽委託メンテナンスの管理──など。今回の事故を受け、民航局は再度同社の問題を徹底的に洗い出す構えだ。6月までに改善計画が受理されなければ、復興航空は60万~300万台湾元(約220万~1,100万円)の罰金が科され、最悪の場合、運航停止が待ち構えている。

 なお、復興航空の陳欣徳執行長は事故当日、前回の事故の後、民航局の検査を経て同社の安全は保証されていたと強調したが、民航局からは同社の改善計画は不十分なため、受理していないと反論された。

 復興航空の元パイロットは、復興航空は長年低コスト経営を続けた結果、昨年パイロット20人が他社に転職し、人員不足が深刻化した中、疲労した状態でフライトを続けていたことが最近2回の墜落事故の背景にあるのではないかと指摘。コスト削減にこだわるあまり安全性を顧みていないと批判した。パイロットの労組、桃園機師職業工会も、復興航空は多くのパイロットが疲れており、以前よりも状況は深刻になっているとの見方を示した。

エンジントラブル、5年で5件

 今回の事故は離陸後のエンジン停止が直接の原因とみられているが、事故を起こしたATR72型機は昨年7月の同社事故でも使用されていた他、蘋果日報の調査によると、復興航空は2010~14年の5年間に、ATR72型機の飛行中のエンジントラブルによって、出発地への引き返しや目的地以外の空港への緊急着陸が5件あったことが分かっている。

 事故について成功大学航空太空工程学系の袁曉峰副教授は、最新型ATR72−600型機が使用されており、搭載エンジン「PW127」も比較的成熟したタイプで、突然エンジンが停止することは考えられないと指摘。事前に何らかの兆候があったはずだとして、同社のメンテナンス体制に疑問を呈した。なお、事故機の前3回のフライトのメンテナンス記録には「特記事項なし」と記載されていたことが分かっている。

国際線も無料キャンセル対象に

 復興航空は、予約取り消しを求める問い合わせが相次いでいることを受けて、台湾域内線、国際線とも無料でキャンセルを受け付けることを決めた。当社は無料の対象を域内線に限定していたが、「路線や機体の問題ではなく『復興航空』というブランドを疑問視している」といった厳しい声が寄せられたため、国際線にも拡大した。