ニュース 社会 作成日:2015年3月16日_記事番号:T00055891
台湾中南部では健康への影響が懸念されるPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が高まる大気汚染が深刻化しており、行政院環境保護署(環保署)が昨年10月から発表している指数(1~10段階)によると、2月以降から3月15日まで、全日4級以上(中度の汚染)が続いていることが分かった。台湾全土で改善の取り組みが進められるものの、工場が林立する高雄市では、市も基準値を下回るまでに10数年かかるとみている。16日付聯合報が報じた。
PM2.5は非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系、循環器系への影響が懸念されている。環保署は台湾全土の観測所で前12時間の1立方メートル当たりのPM2.5の濃度の平均値などを基に指数を算出しており、ホームページで1時間ごとに更新している。
指標は屋外活動に支障がなく、濃度が「低い」ものを1~3級(1立方メートル当たりのPM2.5濃度0~35マイクロメートル)、心臓や呼吸器系に疾患がある人に屋外活動を控えるように提言している「中度」を4~6級(36~53マイクロメートル)、全ての人に屋外活動を控えるよう提言している「高い」は7~9級(54~70マイクロメートル)、「非常に高い」は10級(71マイクロメートル以上)と定めており、望ましい水準として15マイクロメートルを基準値としている。
陳咸亨・環保署空保処長は、中南部は地形の関係で冬季にPM2.5の濃度が高まる傾向にあるが、今年は2月に雨がほとんど降らなかったため特に深刻になっていると説明した。昨年10月以降、3級以下だったのはわずか10日にすぎない。
中国からが全体の3割
台湾で観測されるPM2.5のうち中国から飛来するのは全体の3割で、季節風の関係で特に10月~翌年4月が多い。高雄市で発生するPM2.5は工場のばい煙が6~7割を占める他、二輪車保有台数が台湾全土最多の220万台に上ることから排ガスによる汚染が3~4割に上る。高雄市環境保護局(環保局)は、改善を図っているもののボトルネックに直面していると説明。PM2.5の対策コストは非常に高く、経済への影響を考慮すれば、基準値到達には10数年かかるとの見方を示した。
台中市のPM2.5濃度は平均23マイクロメートルで、飲食業の油煙汚染が深刻として、自治体条例を制定し規制強化を図る方針だ。中部の汚染原因としては火力発電所、製鉄工場、製紙工場なども挙げられており、台中市、彰化県、南投県が共同で検討会を今月末に開催する予定だ。
なお、比較的汚染が軽度な台北市では、昨年のPM2.5濃度は平均19マイクロメートル。4~6年で基準値の15マイクロメートル、8年以内に米国の基準値12マイクロメートルを目指す。
一方、PM2.5指数は一般市民にまだなじみが薄いことや、指標に対する具体的な行動基準が示されていないことが指摘されており、学校や呼吸器系に疾患を抱える子どもを持つ家庭などで混乱を来している。
これについて環保署は、3年以内に大気汚染指数(PSI)とPM2.5指数から台湾独自の「空気品質健康指数(AQHI)」を設けて市民の判断基準とする考えだ。
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