ニュース 社会 作成日:2015年3月26日_記事番号:T00056091
台湾各地には「眷村」と呼ばれ、独特の文化を持つ集住地域が存在する。眷村は国共内戦に敗れた国民党政府が中国から台湾へ逃れた1949年以降に移住した外省系住民によって形成されたものだが、時代の流れに伴って外部へ移り住む者が増えて空き家が増え、寂れた状態となっている。
そんな眷村の一つ、高雄市の「黄埔新村」も住民の立ち退きが相次いで荒れ果てた状態となっており、窃盗事件が頻発するなど治安の悪化も進んでいた。そんな状況を憂慮した市政府は昨年、「眷村文化」を保存しつつ活性化を図ろうと新たな入居者を募る「以住代護(住んで保護)」計画を立案。このほど第1弾、5組の入居者が決定した。
「以住代護」計画は、眷村の建築物に愛着を持つ個人、団体、事業者を対象とし、希望者が提出した入居後の計画書に基づく審査により3年契約で入居者を決定するというもの。なお村内の住居はいずれも日本統治時代からの日本家屋のため傷みが激しく、入居者には修復費用として市から20万台湾元を上限として補助金が支給される。
同計画では昨年10月の発表後、2カ月間の住居見学期間を設けたが、その間、見学者が1,000人を超えるほどの注目を集め、募集された11戸の住宅に対し、106件の入居計画が提出された。
今回、入居が決定した5組のうち、デザイナー、カメラマンなど7人から成る1組は、同地を共同の住居、アトリエとして使用する計画で、メンバーの1人、舞台衣装デザイナーの謝宜彣さん(20代)は「ここの雰囲気が好きでバイクでよく訪れていたが、まさか自分が住むようになるとは思わなかった」と語る。
また入居が決まった別の1組の陳鴻文さんは3D(3次元)アニメ制作者からインテリアデザイナーに転身した人物。もともと北部に住んでいたが、南部に住みたいと家を探していたところ「以住代護」計画を知り、応募してみることにしたそうだ。「古い家屋には親しみやぬくもりがある」という彼は、入居後、村内に放置された家具の修復を進めたいと語った。
高雄市の史哲文化局長は同計画の意義について、「眷村は国共内戦の歴史的証拠であり、台湾という土地の上に異なる族群(エスニック集団)の移民が交流し、融合するという独自の文化資産だ」と説明しており、今後も第2弾として20戸の入居者を募集する計画だ。
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