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日本輸入食品を全量検査、生産地の都道府県明記も義務付けへ


ニュース 食品 作成日:2015年3月30日_記事番号:T00056172

日本輸入食品を全量検査、生産地の都道府県明記も義務付けへ

 福島第一原子力発電所の事故後に輸入が禁止された、東日本5県で生産された加工食品の輸入・流通が発覚した問題を受け、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)の姜郁美署長は28日、日本からの輸入食品に対する検査率を現行の5%から100%に引き上げ、全量検査を行う方針を示した。日本産食品の輸入業者に対し、中国語ラベルの生産地欄に都道府県名の明記も義務付け、生産地の識別を容易にする。水際検査とラベル表示規定の強化の二段構えで、問題食品の輸入・流通を防ぐ狙いだ。29日付中国時報などが報じた。


ダイソーでは生産地不明の食品9品目(3,619点、562キロ)も見つかり、問題食品も合わせ全品目が厳封された(28日=中央社)

ダイソー、問題食品13品目発覚

 桃園市政府衛生局は28日、台湾大創百貨(ダイソー)の市内の倉庫を立ち入り検査したところ、原発事故被災地の▽福島県▽群馬県▽栃木県▽茨城県▽千葉県──で生産された、菓子類や調味料など加工食品13品目(1万3,259点、1,113キログラム)を発見したと発表した。うち5品目はTFDAが発表済みの問題食品で、残り8品目は未発表だった。同局は全品目を厳封した。

 これらの食品は今回の回収騒ぎを受けてダイソーが自主的に店頭から撤去したものだが、同社は当局に通報しなかった隠匿の疑いが持たれており、桃園市衛生局は管轄の台北市衛生局に調査を要請した。桃園市衛生局は、販売業者が安全性に懸念のある製品を発見しながら通報しなかった場合、食品安全衛生管理法違反で最大300万台湾元(約1,150万円)の罰金が科される他、営業停止処分が下される可能性もあると警告した。

 台北地方法院検察署(地検)は30日午前、台北市南京西路の台湾ダイソー本社を家宅捜索し、通関、輸出入関連資料、帳簿などを捜査した。台北地検は同社の違法輸入、事実隠匿を疑っており、日本人経営陣の関与の有無も調べている。

 一方、ダイソー広報担当者はワイズニュースの取材に対し、先週25日に食品検査機関の大新より問題の食品を店頭から撤去するよう通知を受け、台湾ダイソーはそれに従って撤去したと説明した。そして大新に撤去したことを報告し、当局へは大新経由で報告されると考えていたところ、桃園市衛生局の立ち入り検査を受けたという。隠匿やラベル改ざんなどは行っていないと強調した。

問題食品348品目に拡大

 TFDAの29日発表時点で、東日本5県からの輸入が発覚した問題の加工食品は348品目に拡大した。うち327品目は既に放射能未検出が確認されている。

ファミマ、疑惑商品を自主撤去

 桃園市衛生局は29日、コンビニエンスストア大手、全家便利商店(台湾ファミリーマート)が販売する正栄デリシィ(本社・茨城県筑西市、中島豊海社長)製造の「麦チョコ」が茨城県で生産された疑いがあるとして、同商品の輸入業者を管轄する高雄市衛生局に調査を依頼したと発表した。

 これに対し台湾ファミリーマートは、同商品の生産地が長野県であることを証明する文書を桃園市に既に提出したと説明。桃園市から店頭からの撤去を命じられていないが、消費者に配慮して、先週26日に自主的に撤去したと表明した。

輸入商11社を家宅捜索

 新北地検は27日、問題の加工食品を輸入した盛裕欣業貿易(新北市板橋区)や三燦貿易(同三重区)など11社の事務所や倉庫を家宅捜索し、取引明細書、電子メールの記録、関連帳簿などを押収した。新北地検はさらに、11社の責任者、担当者20人から事情聴取も行った。このうち昌盛食品(同三重区)の業務部経理と励拓(同新店区)の責任者はラベル表示の不実記載、詐欺などの容疑が持たれており、それぞれ保釈金40万元、15万元で保釈された。

 なお新北地検の家宅捜索の中で、不実の製造所固有記号が記載されたり、製造所固有記号そのものが記載されていない輸入検査申請書も見つかり、TFDAの関連職員が水際検査で手を抜いていた疑惑も浮上した。

 これについて姜TFDA署長は28日、「手抜き検査など絶対にない」と強調した。輸入検査申請書に生産国と製造所固有記号の記載がなければ通関は不可能と指摘し、新北地検が押収したのは輸入業者が記載を完了しなかったか、申請時に却下されたものではないかとの見方を示した。

都道府県明記を検討中=キリン

 輸入規制対象の5県で生産された紅茶飲料「午後の紅茶」の輸入が発覚した台湾麒麟啤酒マーケティング部の課長は、同社は台湾の法律に沿うよう商品のパッケージに生産地の都道府県名明記を検討していると説明した。さらに、TFDAが先週、日本から輸入する全食品に産地証明書の、一部食品に産地証明書と放射性物質検査報告書の提出を義務付ける方針を改めて示したことについて、同社は100%規定に従うと表明した。