ニュース 金融 作成日:2015年4月2日_記事番号:T00056251
張盛和財政部長は1日、中国が設立を主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加により、台湾の銀行・保険、建設業界が恩恵を受け、中央アジア、西アジアのインフラが整備されれば輸出機会も増えると、台湾にとっての経済的メリットを説明した。中台サービス貿易協定の推進過程で「密室決定」と強い批判を浴びた教訓から、「中国に取り込まれる」ことへの不安感を払拭(ふっしょく)する狙いだ。2日付工商時報などが報じた。
国民党政策委員会の頼士葆執行長(右2)は1日、AIIBはルール自体がまだできておらず、「密室政治」には当たらないと説明した(1日=中央社)
アジア開発銀行(ADB)の試算によると、今後10年、アジアでのインフラ投資は8兆米ドル規模に上り、資金が不足する見通しだ。
張財政部長は、台湾の銀行業界の預金残高33兆台湾元(約130兆円)に対し融資残高は20兆元で余裕資金があり、AIIB参加は銀行のアジア市場開拓、保険会社の投資先拡大につながると指摘した。また、道路、鉄道などインフラ整備の公共工事を落札すれば、建設会社だけでなく鉄鋼、セメント業界にも商機がもたらされ、建設コンサルタント、通信事業者、情報通信技術(ICT)業も恩恵を受けると説明した。
張財政部長はさらに、 AIIBは中台サービス貿易協定と異なり、経済的損失を受ける業界はないと指摘した。台湾のAIIB出資額は推定22億元で、これを株式投資に例えると、損失は最大で22億元だと述べた。
駆け込み申請、米国の態度で決断
台湾のAIIB参加意向書提出が申請締め切り最終日だったことについて張財政部長は、米国の意向をうかがう必要があったためと説明した。米国が反対しなかったので、各国・地域の参加申請が相次ぎ、台湾も積極姿勢に転じたとして、これが台湾の置かれた立場と政治の現実だと語った。
中国財政部は、AIIB参加申請は52カ国・地域に上り、これまでに31カ国・地域が創設メンバーに決定したと発表した。資本金は1,000億米ドルで、うち500億米ドルを中国が出資する。日本は米国に追随し、参加申請をしていない。しかし、米国のジェイコブ・ルー財務長官が31日、AIIB設立を歓迎すると発言するなど、米国は態度を軟化させている。
「適切な名義で歓迎」=国台弁
台湾のAIIB参加意向書提出に対し、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の馬暁光報道官は、「確かに受け取った。適切な名義での参加を歓迎する」と述べた。
一方、行政院の孫立群報道官は、もし中国が台湾に対し香港と同一の扱いをするのであれば、参加しないと表明した。毛治国行政院長は、参加名義や規定の取り決め、予算配分などを担当する、AIIB参加に関する小委員会の設立を張善政副院長に指示したほか、関連部会(省庁)トップを率いて立法院にAIIB参加に関する報告に出向いた。王金平立法院長は、与野党ともに参加を支持しているが、▽台湾が矮小(わいしょう)化されないこと▽立法院(議会)の監視・監督を受けること──が条件だと述べた。
蔡英文民進党主席は、AIIB参加申請に至るまでのプロセスが早急で透明性に欠けたと指摘し、参加自体には反対していないが、後続プロセスの透明化と立法院による監視・監督、市民の関与を求めたいと語った。
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