ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

国安局で「死の射撃訓練」、教官が被弾し重傷


ニュース 社会 作成日:2015年4月9日_記事番号:T00056309

国安局で「死の射撃訓練」、教官が被弾し重傷

 総統や副総統の警護を担当する国家安全局・特殊勤務指揮中心(特勤中心)で3月30日、射撃訓練を実施中に訓練生が撃った銃弾に当たって教官が重傷を負うという事故が発生した。当時、訓練生は実弾を使用していたにもかかわらず、参加者全員、ヘルメットも防弾チョッキも着用しておらず、専門家は「このような『死の訓練』は北朝鮮や過激派組織IS以外ではあり得ず、なぜこれほど危険で意味のない訓練を実施したのか理解できない」と批判している。

 事故が発生した際に行われていたのは、「クロス射撃」と呼ばれる訓練で、6人の訓練生が2列になって約2メートルの距離で向かい合わせに立ち、平行移動しながら対面する訓練生の後方に設置された的を狙って実弾を撃つというもの。

 今回参加した訓練生は訓練の最終段階にあったため、精神力の強さを試す意味合いを持たせ、難易度を高めるため実弾を使用し、かつヘルメット、防弾チョッキなしの状況で実施されたという。

 その際、教官を務めた郭耿宏中校(中佐、35)が1人の訓練生の背後に立ち、その腰を支えて移動速度を確保しようとしていたところ、対面の訓練生が放った銃弾が頸部(けいぶ)に命中した。すぐに病院へ搬送されて手術が行われ、現在は意識を取り戻しているが、半身不随となる可能性が高いという。

 なお今回の訓練は特勤中心を視察に訪れていた監察委員の前で行われており、派手さを演出するために上司が過度に危険な方法を指示したとの指摘もなされているが、特勤中心は「同訓練は長期にわたり実施しており、『身を盾に警護対象者を守る』という方針の下、訓練生の精神および射撃技術を向上させるためこのような手法を用いている」と反論している。

 また特勤中心の隊員も「極限まで難易度を高めた訓練を受けなければ、緊急事態で総統の安全を守るという使命は果たせない」と必要性を強調しているが、仮に訓練で命を失ってはそもそも任務に就けなくなってしまうため、本末転倒ではないだろうか。