ニュース 電子 作成日:2015年4月10日_記事番号:T00056360
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は9日、深刻な水不足で最悪の事態を想定しており、全面断水となった場合、給水車180台を動員して通常生産を確保すると表明した。同社にとって過去最高の警戒レベルとなる。鄧振中経済部長は、石門ダム(桃園市、新竹県)の供給地域で8日開始した第3段階の給水制限(隔日断水)が産業界にもたらす損失は10億台湾元(約38億6,000万円)との試算を示した。10日付経済日報などが報じた。
TSMCは、リサイクル水のコストは水道水の3倍だが、できる限り再利用すると説明した(9日=中央社)
TSMCの荘子寿・新工場工程処兼12インチウエハー工場務処長は、同社の水不足対策は3段階あり、▽工業用水のリサイクル率をできるだけ引き上げ、給水制限が実施されれば外壁の清掃など不要な用水を減らす▽5日給水、2日断水の隔日断水が実施されれば、3日分の水を大型タンクに貯水して断水時に使う▽3日以上の断水となれば外部で水を購入し、全面断水となれば給水車180台で毎日水を輸送する──と説明した。同社は最悪の事態への予行演習として、今月から毎日、新竹科学工業園区(竹科)、中部科学工業園区(中科)、南部科学工業園区(南科)の工場に給水車1台で水を輸送している。
業界関係者は、給水車1台当たりの給水量を20〜30トンとすれば、TSMCが180台を投入すれば1回当たり3,600トンに上り、半導体、液晶パネルメーカーで水を奪い合う事態が起きると指摘した。台北〜新竹までの水輸送オファー価格は1回当たり3万5,000元と、通常の4倍まで上昇している。
TSMC、リサイクル率87%
TSMCは同日、中科の工業用水リサイクルシステムなどの節水対策をマスコミに対して初めて公開した。同社は、12インチ工場「Fab15」で使用される工業用水のリサイクル率が87%を達成しており、新工場では90%以上と説明した。平均すると1滴の水を3.5回再利用している計算になる。
世界半導体会議(WSC)の統計によると、台湾の半導体業界が生産に必要な水の量はウエハー1平方センチメートル当たり5.74リットルで、TSMCの場合は5.66リットルと、米国(15.07リットル)の約3分の1、日本(10.56リットル)の約2分の1にすぎない。
石門ダム、5月末まで見通し
新北市(板新、林口地区)、桃園市、新竹県(湖口、新豊の一部地域)では8日から5日給水、2日断水の隔日断水が始まった。
楊偉甫経済部次長は、石門ダムの8日の給水量は60万トンと約半分に減っており、5月末まではこれら地域で給水制限を強化しないと述べた。また、断水開始の前日に使用水量が160万トンに激増したとの報道を否定した。水道公社、台湾自来水(台湾ウオーター)の統計によると、7日の家庭用と工業用の給水量は110万5,000トンで、平均より2万1,000トン多かっただけだ。
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