ニュース 食品 作成日:2015年4月27日_記事番号:T00056655
台湾が日本の8都道府県7項目の食品に放射性物質検査証明の添付を義務付けるなど輸入規制を強化したことを受け、日本の与党自民党内で、台湾の輸入規制措置が世界貿易機関(WTO)の協定に違反しているとして、WTOに提訴すべきとの主張が持ち上がった。政府与党はまた、政治交渉を通じて台湾に規制強化の撤回を求めていく方針だ。行政院は、日本が提訴に踏み切った場合、台湾はWTOの紛糾解決制度に基づいて対応していくと表明した。27日付聯合報などが報じた。
自民党の委員会では、「台湾の輸入規制強化は明らかに政治的意図に基づいている」との批判が出た(24日=中央社)
衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は今月16日、5月15日から8都道府県7項目の食品輸入に放射性物質検査証明の添付を、日本からの全ての食品輸入に都道府県を明記した産地証明の添付を義務付けると公告した。東日本5県産の食品輸入禁止措置も継続する。
日本の農林水産省関係者は、台湾の輸入規制強化は科学的根拠に基づいたものでなく、WTOの衛生植物検疫(SPS)協定第2条2、第5条1および2の規定に、東日本5県からの輸入禁止は第2条3および第5条5の規定に違反すると指摘した。
自民党は24日、食料産業調査会成長産業化委員会を開き、台湾の輸入規制強化について議論した。今月TFDAを訪れ、輸入規制強化の撤回を申し入れた農林水産省の桜庭英悦食料産業局長も出席し、台湾の係官が「新規定の実施は政治判断」と語ったと説明。これを受け、自民党の衆議院議員などから「もはや官庁レベルでの交渉を続けても意味がない」「日本政府が台湾をWTOに提訴すべき時期に来た」などの声が上がった。
桜庭局長は、WTOへの提訴には台湾の規制強化がもたらす日本側の経済的損失の分析の他、膨大な資料の準備が必要と指摘。提訴に向けた準備作業は余念なく行い、台湾に規制強化の科学的根拠とリスク評価などを示すよう引き続き要求していくと述べた。
日本側の動きに対し孫立群行政院報道官は、台湾政府には食品安全の問題処理に一定の原則があり、経済部、衛生福利部、外交部が日本側と協議を行っていると説明した。
安倍首相が安全性説明を指示
一方、産経新聞の報道によると、安倍晋三首相は24日、29日に訪台予定の萩生田光一自民党総裁特別補佐に対し、台湾側に日本産食品の安全性を説明するよう指示した。首相は「(台湾の)規制強化は誤解に基づいている」と強調し、「良好な日台関係に支障を来すことは望ましくない」と述べたという。
萩生田氏と自民党の「日本・台湾経済文化交流を促進する若手議員の会」の岸信夫会長は、国会議員10数人を率いて台湾を29日より訪問し、馬英九総統や王金平立法院長、与野党の議員らと面会する予定で、安倍首相は萩生田氏に馬総統への口頭による伝言を指示したとみられる。
総統府関係者は26日、馬総統は既に、日本からの輸入食品のラベル表示に対する信頼回復に日台が協力して努めるべきで、産地証明にせよ放射性物質検査証明にせよ、信頼性がなければ今後の日台貿易に影響すると表明したと指摘した。
台湾の対日窓口機関、亜東関係協会の李嘉進会長は、食品安全問題を政治問題にすべきでないと訴えた。
姜郁美TFDA署長は、現時点で公告内容に変更はなく、新規定は予定通り実施すると強調した。
EPA・TPPに影響も
一方、対日事務に関わる台湾の政府関係者からは、台湾による輸入規制強化は、日台間の経済連携協定(EPA)締結交渉に悪影響を及ぼすとの懸念が示された。台湾にとって農林水産省は日台EPAの重要な交渉相手であるためだ。同関係者はさらに、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に対する日本の支援にも影響が出かねないと指摘した。日本のある政府関係者は、日台EPA締結交渉に多少は影響し得るとの見方を示した。
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