ニュース 政治 作成日:2015年5月5日_記事番号:T00056786
中国共産党の習近平総書記(国家主席)は4日、国民党の朱立倫主席との会談で、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)への台湾の参加を歓迎する」と表明した。習主席はまた、「一帯一路(海と陸のシルクロード経済圏)」構想についても、台湾に優先的に門戸を開き、開放レベルを拡大すると語った。安定した中台関係の下での経済発展を台湾有権者にアピールしたい朱主席にとって、一定の成果を得た初顔合わせとなった。5日付工商時報などが報じた。
朱主席(左2)は、台湾では既にAIIBへの参加方向で官民の合意が形成されつつあると語った(国民党リリースより)
習主席の発言は、「1992年の共通認識(92共識)」に基づいて台湾の国際組織、国際活動への参加意欲に対する尊重を求め、AIIB、一帯一路、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加意欲を示した朱主席に回答したものだ。台湾は4月、AIIBに創設メンバーとして参加することが中国に認められず、一般メンバーでの参加を目指しているが、習主席の発言でそれへの確約を得た形だ。
習主席は、中国は台湾と発展の機会を分かち合う意欲があり、台湾同胞への開放レベルを拡大する必要があると表明。地域経済統合への台湾の参加については中台間でさらに踏み込んだ検討が可能で、「1つの中国」の原則の下、適切に処理できると述べた。
朱主席は会談後、さらなる経済価値を創出するために、台湾のAIIB参加は必須だと強調。一方、懸案の参加名義については、「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」が最低ラインと述べた。
「中台経済交流に意義ある会談」
中国で事業展開する聯展通訊(アプライド・テレコム)の陳鴻儀総経理は、両主席の会談はこれまでの国共フォーラムにおける対話ルートの延長線上にあり、経済交流の面で間違いなく前向きな意義があったと評価した。台湾はAIIBや一帯一路といった中国の世界戦略の変化にどのように関与していくかが重要で、今回の会談は対話の場としての役割を果たしたと指摘した。
「両岸は1つの中国に属す」
一方、習主席は中台関係の在り方として、▽92共識を堅持し台湾独立に反対▽両岸(中台)の共通利益深化▽人民同士の心の交流▽大局に立ち、求同存異(共通点を求め、相違点を残す)、聚同化異(共通点を拡大し、相違点を解消する)を通じた相互尊重▽中華民族の偉大なる復興を共に実現──の5点を表明した。その上で、両岸関係の平和的発展を保障する制度的枠組みを構築しようと訴えた。
朱主席は92共識について、「両岸同属一中(両岸は1つの中国に属す」との内容だが、そのニュアンス、定義の仕方に双方違いがあると指摘。習主席に対し、両岸は大局的見地に立って、これまでの平和的発展を基礎に、ウインウインの協力関係に深化させるべきだと述べた。
台湾ますます窮地に=蔡英文主席
朱主席による「両岸同属一中」発言は、従来の「一中各表(1つの中国、それぞれの解釈)」よりも統一色を一歩強めた形だ。
民進党の蔡英文主席は、この「両岸同属一中」発言、および92共識に基づいて国際組織への参加意欲を示したことについて「重大な懸念を感じる」と表明した。朱主席は国際関係を中台関係の枠組みでとらえており、台湾が国際組織に参加する余地は狭くなる一方だと批判した。
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