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総統選の対中政策論争が本格化、蔡主席を「空言」批判


ニュース 政治 作成日:2015年5月7日_記事番号:T00056841

総統選の対中政策論争が本格化、蔡主席を「空言」批判

 来年の総統選挙を視野に、与野党の対中政策をめぐる論争が本格化してきた。与党国民党の朱立倫主席は6日、民進党の総統候補に決まった蔡英文主席が、中台関係の基本原則として「現状維持」を掲げたことについて、「空言だ」と初めて強く批判した。昨年の統一地方選での大勝を受けて総統選の各種世論調査では依然蔡主席が優勢だが、中国共産党の習近平総書記(国家主席)と朱主席の会談に一定の評価を得た国民党は、安定した中台関係をアピールしつつ巻き返しを狙う情勢だ。7日付聯合報などが報じた。


朱主席(奥中)は果たして総統選への立候補を見送るのか。その場合、国民党にとってマイナスとなる公算が高い(国民党リリースより)

 蔡主席の「現状維持路線」に対しては、馬英九総統が先月30日に「どのように実現するのか」と批判したばかり。朱主席も同日、党中央常務委員会で、「総統選に出馬する人物は、両岸(中台)政策がないということは許されず、『現状維持』といった空言でごまかすことは許されない」と述べ、国民党による中台関係改善の実績に触れつつ、民進党は中台を過去の対立関係に後退させたいのかと疑義を示した。この発言に委員会は出席者の賛意の拍手で包まれたという。

 国民党が「一つの中国、それぞれの解釈」と位置付ける「1992年の共通認識(92共識)」を対中関係の基盤に置く一方、蔡主席は今回も「両岸問題への対応には、まず台湾内部で共通認識を生み出すことが先決」との立場で、落選した前回12年総統選で唱えた「台湾共識」から全く変わっていない。中産階層が中台関係の不安定化を嫌う傾向は前回総統選でも示されており、国民党には依然巻き返しの機会が残されている。

総統選出馬への期待高まる

 総統選の次の焦点は国民党候補の決定だが、習主席との国共トップ会談実現後、朱主席に対し総統選への出馬を求める声が党内で一段と高まっている。

 朱主席は先月、総統選への不出馬を明言した一方で、党内予備選挙の立候補届け出用紙の受け取りを締め切る5月16日以降に総括報告を行うとも述べており、朱主席に近い人物によると、出馬する可能性はまだ残っているようだ。国民党はきょう7日にも朱主席と立法院党団(議員団)との会談を開くとされ、朱主席が何らかの意向を表明するか注目が集まっている。

 ただ一方で、朱主席は6日午前、既に立候補届け出用紙を受け取った元行政院衛生署(現・衛生福利部)署長の楊志良氏に対し、総統選出馬の意志を貫き通すよう直接激励したとされ、自身の出馬は完全に見送ったとの観測も出ている。