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体験型3C販売、鴻海の三創園区オープン


ニュース 商業・サービス 作成日:2015年5月14日_記事番号:T00056977

体験型3C販売、鴻海の三創園区オープン

 鴻海科技集団(フォックスコン)による3C(コンピューター、通信、家電)製品の12階建て大型販売店、三創数位生活園区(台北市中正区)があす15日午前11時にオープンする。柱一面のパブリックディスプレイや、スマートフォンで操作できる鴻海のGtロボットなど、消費者が見て聞いて触って楽しめる体験重視が特徴だ。1〜2階には鴻海の顧客である大手ブランドの旗艦店が集結。三創園区は当初の1カ月で延べ50万人の来店を見込む。14日付蘋果日報などが報じた。


柱には60インチの産業用LED(発光ダイオード)ディスプレイ合計192枚を使用した
(13日=中央社)

 三創園区は地下6階、地上12階建てで延べ床面積12万坪。▽アップル▽インテル▽宏碁(エイサー)▽華碩電脳(ASUS)▽微星科技(MSI)▽宏達国際電子(HTC)▽ソニー──など大手ブランドや通信キャリアが入居し、鴻海の顧客層の厚みを見せ付けた。インテルはアジア太平洋地域で同社初の独立型コンセプトショップ、MSIはアジア太平洋で初のゲーム用ノートパソコンの旗艦店を出店した。

 三創園区は台北市とBOT(建設、運営、譲渡)契約を結んでおり、運営者は鴻海傘下の三創数位、投資額は38億台湾元(約150億円)だ。鴻海は2009年以降、中国で大型店や従業員向け小型店などさまざまな方式で3C販売に参入し、EMS(電子機器受託生産サービス)から販売まで顧客への一貫サービスを狙っていたが、14年6月に撤退しており、台湾でリベンジを図る格好だ。

通信3社、出店に3千万元

 通信キャリア大手3社の中華電信、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)、台湾大哥大(台湾モバイル)は、出店にそれぞれ1,000万元と、これまでで最も高い金額を投じ、第4世代移動通信システム(4G)の最新サービスをアピールする。ブランドイメージ向上で、業績につなげる考えだ。


遠伝の受付番号発券機は、空中でタッチすれば反応する(13日=中央社)

 台湾モバイルの谷元宏商務長も、出店の目的は収益でなく、消費者に新体験を提供することだと説明した。台湾モバイルの店舗では、天井から吊るされた音響・映像(AV)機器50台がヒトの動きに反応して、180度回転して「どこでも聞こえる」体験をしたり、ブレスレット型ウエアラブル(装着型)端末を付けてエアロバイクをこぎ、大画面に映し出された台北の街並みをバーチャル体験したりできる。

 亜太電信(Gt)の店舗では、Gtロボットをスマホで動かし、拡張現実(AR)ゲームが体験できる。同社は鴻海傘下の創星物聯科技と提携で、スマートカー体験センターも設置した。

地元業者と共存

 三創園区の2階は台湾初となる女性をターゲットにした電子製品アクセサリー売り場だ。3階は台湾最大の撮影機器とアクセサリー売り場で、4階には短編映画の撮影スペースが設けられ、撮影器材も販売する。5階はフロア1,000坪を音響ブランドが埋め尽くし、台湾最大のレコードコーナーも設置する。6階は日米のアニメ・漫画ショップが立ち並ぶ。7階は親子で楽しめる体験クラスを開講し、屋外スペースも備える。8〜12階は工事中だ。

 三創園区は、出店に対して地元業者の強い反発があった。王国瑞・三創園区店総経理は、光華数位広場など地元業者や自治会長と話し合いを重ねており、台北市の主導の下、共存を図ると強調した。三創園区の3〜4階と、光華数位広場の3〜5階が行き来できる連絡橋は6月末に完成する予定だ。

 業界関係者は、台湾の電気街として知られる「光華商場」エリアに雑然と集まっていた小型店舗を、新しく建設した光華数位広場のビル内に入居させたがかつてのにぎわいは薄れており、三創園区が成功するかどうかは様子見だと述べた。三創園区は当初「台湾の秋葉原」をイメージしていたが、現在は「デジタルライフ園区」の位置付けで、今後は百貨店やショッピングセンターのように転換する可能性があると予測した。

 ある入居業者は、百貨店のように賃料は売上高連動で、売上高が一定水準以下の場合は賃料が上乗せされるので、大手ブランド以外は生き残れないと漏らした。