ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

復興墜落機パイロットの母、息子の入れ墨を腕に刻む


ニュース 社会 作成日:2015年5月15日_記事番号:T00056980

復興墜落機パイロットの母、息子の入れ墨を腕に刻む

 今年2月、復興航空(トランスアジア航空)の旅客機が台北松山空港を離陸直後に基隆河へ墜落し、43人が死亡した事故で殉職した操縦士、劉自忠さん(享年45)の母親(75)は事故後、わが子を亡くした悲しみから立ち直れない日々が続いていた。そんな中、彼女は息子の姿を入れ墨で自分の腕に刻もうと決意し、このほど実行に移した。

 自忠さんの姉によると、彼は5人姉弟の末っ子で、しかもパイロットになりたいという夢を追い続けたことから42歳まで独身だったため、両親との暮らしが兄弟の中で最も長く、親も彼を一番かわいがっていたという。

 そんないとしい息子を亡くした母親は事故後、ショックの余りふさぎ込み、ほとんど外出せず家に引きこもる状態が続いていた。そこへ先月、同じく息子を交通事故で亡くした知り合いから、子供の肖像を体に入れ墨したという話を聞き、自分もやりたいと考えて知り合いに入れ墨師の紹介を依頼した。

 そして今月11日、母親は息子を自分の体に刻むため、台中市の入れ墨店へと向かった。事前に入れ墨師と相談した結果、彼女は左腕の上腕部にパイロットの制服を着てほほ笑む自忠さんの肖像を描いてもらうことに決めた。

 なお入れ墨には、7本の針が付き1分間に500回肌を突き刺すことができる機械が使われたが、縦12センチメートル、横9センチの自忠さんの肖像を描くには計7時間で4万5,000回、針7本で計31万回以上突き刺された計算になる。

 入れ墨にはかなりの痛みが伴うそうだが、自忠さんの母親は終始、声も上げず、涙を流すこともなかった。「痛くなかったか」と聞かれた彼女は「すごく痛かった。でも息子のためだと思って耐えたのよ」と語った。

 自忠さんの姉によると、入れ墨を入れた後、母親は腕の見つめて「どこに行っても息子がそばにいる。あの子が私を見つけられないと心配しないで済む」と話すそうで、気持ちも少し落ち着きを取り戻したという。