宏碁(エイサー)が、18.4および16インチ型のブルーレイDVDディスク(BD)対応のノートブック型パソコン(ノートPC)を3月末に発売する。このほど東芝がHD DVD事業からの撤退を発表したことで、BDが次世代DVDの統一規格になることが事実上決まったが、23日付工商時報によると、エイサーはブルーレイドライブの購買意欲が高まるとみて、発売時期を当初の予定から3カ月繰り上げ、マルチメディアノートPC市場を他市場に先駆けて攻略することを決めたという。
ブルーレイ対応ノートの発売は、林顕郎同社総経理が22日に明らかにしたもの。
ブルーレイの高容量、高画質の特色を生かすため、ハイビジョン映像対応のフルHDパネルを採用し、横縦比を16対9とする。CPU(中央演算処理装置)はインテルの最新Core 2 Duoシリーズの8300を、グラフィックカードはエヌビディアの最高級製品を導入する。また、得意のドルビーサウンドシステムの第2世代を採用し、スピーカー6個を搭載してマルチメディア対応機として質の高いものとする考えだ。
ノートPC市場では、これまで12.1型、14.1型、15.4型の3機種が主流だったが、ブルーレイ対応機は18.4および16型の大型で、工商時報は「思い切った戦略」と評している。
これまで19型や17型の大型ハイエンドノートPCは、価格が8万~9万台湾元(約27万4,000~30万8,000円)に達していたが、エイサーのブルーレイ対応機は、各種ハード部品で最高級のものを採用するものの、定価を7万元以下に抑えて「お買い得」感をアピールする方針だ。
低価格ノートは5月に
これまで参入の観測が報じられていた超低価格ノートPCについて林総経理は、5月に正式に発売する考えを示した。ライバル、華碩電脳(ASUS)の人気低価格ノートPC「Eee PC」の欠点について、「7インチパネルは小さすぎ、解像度も不足」と分析し、エイサーではパネルは8.9インチを採用し、解像度は1,024×768とする。ハードディスクについては、フラッシュメモリで代替するソリッド・ステート・ディスク(SSD)採用機種、および従来型のハードディスク機種も打ち出す。また、 Eee PCが採用したリナックスOSについては「消費者はウインドウズに慣れている」として採用せず、当面はウインドウズXPを導入する。
なお林総経理は、「低価格ノートPCが従来のノートPCに取って代わる可能性は低い」とみている。低価格ノートPCの購入者について、「ノートPCのユーザーが3割で、7割は新たに使用を開始する消費者」と、低価格ノートPCによってかえって市場が広がると予想している。