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作成日:2008年2月26日_記事番号:T00005715
台北県碧潭、景観改造で違法商店を撤去
台北県新店市にある碧潭風景区は、新店渓にかかる吊橋と湖面に浮かぶボートが有名だ。夜になれば吊橋に明かりがともり、両岸の堤防上に並ぶカフェや商店、夜店が賑わうデートスポットでもある。
台北県は07年10月から碧潭風景区の再開発に着手し、1億3,000万台湾元(約4億5,000万円)を投じた景観改造工事を進めている。その一環として、25日から碧潭東岸に並ぶ違法なバラック商店街の取り壊しが始まった。
60年以上も前から碧潭東岸に小屋を掛けている老舗商店は66店。これまで台北県に家賃を支払って商売を続けていたが、県は去年賃貸契約の継続を中止し、立ち退きを勧告していた。
その後56店は転居したものの、残る10店は県から何の補償も移転先のあっせんもないことに大きな不満を示し、立ち退きを拒否。県が強制撤去を始めたこの日も抗議を続けたが、取り壊しは進められた。
祖父の代から3代が碧潭で商売をしてきた張中銘さん(41)は、全面撤去を前にあらゆる機関に陳情したが、受け入れられなかった。彼女は失望のあまり、23日に開設された新店市北新路の国民党総統選選挙事務を訪れた際に、睡眠薬60錠を飲み自殺を図った。幸い病院に運ばれ、一命を取り留めたものの、生活の道は開けていない。
県は今後、碧潭東岸には公開入札によって、移動式のカフェやレストランなどを12~15店営業させる方針だ。かつて「台湾八景」に選ばれたこともある碧潭に、「台湾のパリ左岸」がお目見えするのは、今年5月末の予定だという。