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絶滅危機のカメ救え、屏東に保護センター


ニュース 社会 作成日:2015年6月1日_記事番号:T00057265

絶滅危機のカメ救え、屏東に保護センター

 屏東県に世界でも珍しいカメの保護センターが存在する。同センターの運営を主導する清華大学・生命科学系の李家維教授は「カメは地球上の脊椎動物の中で最も保護を必要している種のひとつだ」と強調し、今後センターをカメ用の「ノアの箱舟」にしたいと抱負を語った。

 李教授がカメの保護を思い立ったのは一昨年のこと。彼の発案で屏東県高樹郷に設置された熱帯植物の保護施設「辜厳倬雲植物保種中心」に、密輸されかかっていたセマルハコガメとミナミイシガメ、約200匹を引き取ってくれないかと林務局から連絡を受けたことがきっかけだった。

 林務局の依頼を快諾した李教授が引き取ったカメたちは取りあえず、植物保種中心内で収容されたが、飼育環境が良かったのか翌年の春には産卵、ふ化に成功した。そしてその保護状況を高く評価した林務局は今年、さらにセマルハコガメ200匹、ミナミイシガメ100匹の引き取りを依頼した。

 なお林務局によると、密輸されそうになり保護されたカメの数は屏東県と高雄市の漁港だけで5,000匹に上り、主な密輸先は中国となっているそうだ。また専門家の推定によると、中国から台湾に「発注」されるカメの数は、セマルハコガメだけで年間10トンに上り、1匹500〜600グラムで計算すると、毎年2万匹以上が台湾から消えている計算になるという。

 なお李教授は、歴史上、カメはこれまで2度、絶滅の危機を迎えており、一度目は200年前に植民地化を目的としてインドや大西洋上に乗り出した欧州各国の船団が行く先々でカメを食料としたこと、そして2度目は近年、中国で亀苓膏(亀ゼリー)の原料やペット用に大量に輸入されていることだと指摘。現在、世界に生息しているカメは約300種まで減っており、さらにその半数以上が絶滅の危機にひんしていると強調した。

 現在、屏東の保護センターでは大型の飼育池1カ所、および中、小型の飼育池45カ所を建設中で、1年半後にはカメの種類を40〜50種に、飼育数を1,000匹以上に増やす計画だ。