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台北市が発泡スチロール製カップ禁止、生産規制も検討


ニュース 商業・サービス 作成日:2015年6月1日_記事番号:T00057289

台北市が発泡スチロール製カップ禁止、生産規制も検討

 台北市で持ち帰り飲料を販売するチェーン店2,882店できょう1日から、発泡スチロール製カップの使用が禁止された。自然界で分解されにくく、ポイ捨てにより街の景観や自然の生態系が破壊される他、材料の化学物質が溶け出し人体への影響も懸念される同カップの使用量を減らすことが目的だ。台南市、台中市に続く措置で、行政院環境保護署(環保署)は、発泡スチロール製カップの全面的な生産禁止も検討している。1日付蘋果日報などが報じた。


清心福全はきょうから、台湾全店で発泡スチロール製カップの提供を控えている(1日=YSN)

 環保署の統計によると、発泡スチロール製カップはチェーン店で毎年2億個使用されている。同カップのリサイクル率はわずか20%余り。

 今回の規制の対象は、台北市で持ち帰り飲料を販売する飲料チェーン66社、コンビニエンスストア6社、ファストフード10社の計2,882店。なお、店内に座席を持たない飲料スタンドは対象外だ。

 台北市政府環境保護局は今後、規制対象店舗を訪問して、▽発泡スチロール製カップを使っていないか▽タンブラーやマイカップ(マイボトル)持参客へのキャッシュバック、割引など還元措置の有無──などを調査する方針だ。

生産禁止の是非、業者と協議へ

 廃棄物清理法第21条では、中央政府機関は深刻な環境汚染をもたらす容器の製造、輸入、販売、使用を禁止または制限できると規定している。呉盛忠・環保署廃棄物管理処長は、台湾で発泡スチロール製カップを生産するメーカーは6社で、今月メーカーと飲料販売業者を集めて会議を開き、補完措置を検討した上で同カップの生産を全面禁止するかどうかを決めるとの方針を明かした。

 飲料スタンド大手、清心福全冷飲站は、生産を全面禁止した方が業界にとって公平との見解を示した。一方、発泡スチロール製カップメーカーの寛原実業(高雄市)は、同カップだけを生産規制の対象にすべきでないと表明した。

性早熟、プラスチック容器に原因

 なお、国立成功大学(台南市)の研究チームはこのほど、プラスチック容器入り飲料などの大量摂取により、容器から溶け出した可塑剤を体内に摂取することで、女児の性早熟が引き起こされているとの研究結果を発表した。

 同研究チームは、可塑剤が脳の「Kiss1」ニューロンを刺激し、特殊タンパク質「Kissペプチン」を分泌させることで、脳下垂体のプロゲステロン分泌を促進し、女児の胸部、生殖器の発育など第二次性徴をもたらしていることを世界で初めて発見した。

 同研究チームリーダーである李俊璋・成功大学環境微量毒物研究センター主任は、女児の性早熟は遺伝子、食習慣、環境、ストレスなどを原因とするが、環境要因としては可塑剤と環境ホルモンの影響が特に大きいと指摘した。

 同研究は性早熟症の2〜8歳の女児71人を対象として行われた。中には6歳で初潮を迎えた女児もいた。李主任は、性早熟症の女児の多くが毎日プラスチック製カップ入りの茶飲料や豆乳を飲んでいたことが分かったと説明。また、女児の体内の可塑剤濃度が高いほど、分泌されるKissペプチン、プロゲステロン濃度も高くなり、性早熟の症状がより明らかだったと述べた。

 なお、同研究チームが女児71人のうち、30人でプラスチック製カップ入り飲料の摂取を停止し、その他可塑剤吸収の原因となる香水などへの接触を控えたところ、1週間で可塑剤の体内蓄積量が約33%〜50%減少したという。

 このほか李主任は、プラスチック製のカップ、おわん、袋などに過熱した飲食物を入れると、可塑剤の溶出量が2〜3倍増えるとして市民に注意を呼び掛けた。