ニュース 社会 作成日:2015年6月9日_記事番号:T00057430
1915年に台南で発生した、日本統治時代最大規模の抗日武装蜂起事件とされる「西来庵事件」(玉井事件、タパニー事件)について台湾では、蜂起参加者の掃討のため日本側が虐殺行為を行い、1万人以上が殺害されたとの説もある。しかし、これまで十分な研究が行われてこなかったことから死亡者の正確な数は不明となっており、台南市の委託を受けて調査を進めた専門家はこのほど、台湾側の犠牲者は現在判明しているだけで1,400人を超えるとの見解を示した。
西来庵事件は、台湾総督府警察の元警察官で漢民族の余清芳が首謀者となり、現在の台南市玉井区にある廟、西来庵をアジトとして武装蜂起を計画したもの。蜂起計画自体は同志が逮捕されたことをきっかけに警察に発覚し、未遂に終わったが、余清芳らは山間部に逃亡してゲリラ戦を展開。各地の派出所などを襲撃し、最終的に100人近い日本人が殺害されたとされる。
これに対し総督府側は大砲や機関銃などを投入して掃討作戦を展開したが、報復感情もあって作戦の過程で一つの村の全住人を殺害するなどの虐殺行為を行ったとの説もある。
総督府の公式記録では台湾側で309人が死亡したとの資料が残されているが、実際の犠牲者数はこれを大きく上回るとされる。また昨年、台南市新化区で発見された3,000体を超える人骨に対し、地元で西来庵事件の犠牲者との見方が強まり、現在鑑定作業が進められている。
事件発生から100年目に当たる今年、台南市は首謀者の余清芳が逮捕された8月22日に記念イベントの開催を予定しているが、研究不足から犠牲者の数が不明となっている状況に同市文化局は台南大学台湾文化研究所に調査を依頼。その後、同研究所は日本統治時代の戸籍資料を基に犠牲者の調査を進め、現時点で1,412人の死亡が判明した。
ただ、同研究所の戴文鋒所長は、事件の影響を受けた高雄市甲仙区と杉林区の当時の戸籍が失われているため、犠牲者数はさらに300人以上上乗せする必要があるとの見方を示している。
なお、台南市文化局は、西来庵事件は総督府が武力支配から文人支配に方針転換するきっかけとなり歴史上重要な意義を持つと指摘しており、今後、さらなる真相究明が期待される。
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