ニュース 金融 作成日:2015年6月9日_記事番号:T00057453
台湾元が8日の台北外国為替市場で前週末比0.243元安の1米ドル=31.275元で引け、4月15日以来ほぼ2カ月ぶりの安値を付けた。下落幅は過去5カ月余りで最大だった。米利上げ観測の台頭による米ドル高進行と、台湾からの外資の大量引き揚げに加え、中央銀行(中銀)も終盤で米ドル買いの介入を行い台湾元安が進んだ。早ければ今週にも1米ドル=31.5元まで下落し、その後も32元を探る動きとなる見通しで、台湾元高の一服は、不振にあえぐ輸出にとって好材料となりそうだ。9日付経済日報などが報じた。
台湾元の対米ドル相場は今年1米ドル=約32元で始まり、4月24日までは31〜32元で推移していたが、4月27日に31元を割り、5月22日には30.541元と今年の最高値を記録するなど元高が進行していた。その後は7営業日連続で下落し、6月2日には31元台に戻した。
銀行の外為担当者によると、7日は台湾から約8億米ドル(約250億台湾元)の外資が引き揚げた。一方、台湾証券交易所(台湾証券取引所、TWSE)の統計によると、過去7営業日で台湾株の外資売り越し額は累計461億元に達している。これは依然多くの資金が口座に積まれていることを意味し、今後数日も外資の引き揚げが続き、台湾元が一段と下落する可能性が高い。
7日は台湾元だけでなくユーロやアジア通貨も米ドルに対し総じて下落しており、立法委員によると、中銀の彭淮南総裁は、韓国ウォンの下落幅1.09%に比べれば、台湾元の下落幅0.78%は「ましな方だ」と述べたという。
また、彭総裁は「台湾元安と輸出競争力向上は無関係だ」と語ったとされるが、銀行の外為担当者は、中銀は台湾が輸出でライバル視する韓国の為替レートを注視しつつ、韓国ウォンの下落幅との差が広がり過ぎないよう台湾元安に誘導しており、「輸出と無関係というのは全くのうそだ」と指摘した。台湾では輸出不振などを受け、政府に適度な台湾元安誘導を求める声が産業界から上がっていたが、中銀が暗黙の了解でこれに応えたとの見方が浮上している。
なお、9日午前の台湾元相場は、前日の急落から0.155元戻し、1米ドル=31.120元の元高ドル安で引けた。
円安底打ちか
一方、ブルームバーグの報道によると、国際金融の専門家である伊藤隆敏米コロンビア大学大学院教授は、日本円は対米ドルで現在の安値からさらに大幅下落が進む可能性は低く、円は底打ち水準との見方を示唆した。
伊藤教授は、最近の為替相場は円安というよりもドル高で、米ドルはどの通貨に対しても上昇していると指摘。ただ、過度の変動がない限り日銀が円買い介入に踏み切る可能性はほぼないとの見方も示した。
日銀によると、円相場は8日午後5時点で1米ドル=125円21〜23銭と前週末5日の午後5時時点と比べて51銭の円安ドル高水準で推移した。仮に伊藤教授の読み通り円の下落が止まり、一方で台湾元安が進行すれば、台湾元と日本円のクロスレートは現在の1元=4.01円から再び3元台に戻る可能性がある。依然円安水準ではあるものの、日本からの輸入価格が現在以上に安くなるかは不透明と言えそうだ。
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