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TSMC董事長、「中国台頭に懸念なし」


ニュース 電子 作成日:2015年6月10日_記事番号:T00057481

TSMC董事長、「中国台頭に懸念なし」

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長は9日、最近競争力向上が伝えられる中国のいわゆる「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」について、「(TSMCとは)まだ競争にもならない」との見方を示した。半導体産業は資金力と政府の支援だけでなく、技術の積み重ねが必要なことを理由に挙げた。アップルに供給する金属筐体最大手の可成科技(キャッチャー・テクノロジー)など複数のハイテク大手のトップも、技術革新を続ける限り中国メーカーは恐れるに足りないとの認識で一致した。10日付工商時報などが報じた。


張TSMC董事長は、外資系証券会社が懸念する受注と業績の腰折れについて、「あり得ない」と一蹴した(9日=中央社)

 張TSMC董事長は株主総会の後、中国メーカーによる「レッドサプライチェーン」の脅威について報道陣に問われ、中国政府が地場企業支援に本腰を入れているが、台湾に追い付くのは容易でないと話した。過去10年、台湾はむしろリードを広げており、パッケージング・テスティング(封止・検査)でも台湾は先進製造プロセスで優位に立っていると述べた。IC設計分野では、中国が確かに台湾を追い上げているが、聯発科技(メディアテック)は強いと語った。

 キャッチャーの洪水樹董事長は、競争が激化しているものの台湾メーカーが依然優位との認識を示しつつ、中国政府の支援の力は大きいとして台湾政府に対応の必要性を訴えた。

 液晶パネル用偏光板メーカー、奇美材料科技(チーメイ・マテリアルズ・テクノロジー)の何昭陽董事長は、市場が大きいので中国政府が地場サプライチェーンを育てるのは当然のことと述べた。

 高速伝送ICの祥碩科技(ASメディア・テクノロジー)の沈振来董事長は、イノベーションとスピードを追求する限り、競争力を維持できると話した。

「A9」受注成功、6月量産

 業界筋によると、TSMCとサムスン電子が5月末、アップルの新プロセッサー「A9」の試験生産品を提出したところ、TSMCの方がサイズが小さく、受注を果たした。6月から16ナノ立体構造トランジスタ(FinFET)プロセスのアップグレード版「FinFETプラス」で量産に入り、月2万枚以上のウエハーを投入する。9月から大量出荷を開始する見通しだ。

 観測によると、TSMCは「A9」の受託生産だけでなく、パッケージング・テスティングも受注した。アップル用にカスタマイズしたテスティング装置100台以上を既に準備した。

【表】