ニュース 電子 作成日:2015年6月11日_記事番号:T00057509
鴻海科技集団(フォックスコン)は今後5年以内に40億台湾元(約160億円)以上を投じ、第5世代移動通信システム(5G)技術・特許の研究開発(R&D)を進める。台湾や中国、欧米の専門家を集めた200人規模の研究開発チームを結成済みで、鴻海の顧客や提携企業、教育機関などと有望な製品を開発し、2020年開催の東京五輪での採用を目指す。11日付経済日報などが報じた。
経済部技術処の傅偉祥処長(右1)は、21年に台湾の通信産業の生産額は2,000億米ドル、世界シェア20%に達するとの予測を示した(10日=中央社)
鴻海傘下のネットワーク機器メーカー、台揚科技(マイクロエレクトロニクス・テクノロジー、MTI)の謝其嘉董事長が明かした。
謝董事長は、交通、建築、製造などの分野でインターネットにつながる端末は20年に世界で250億個に達するとの見通しを説明。通信速度が4Gの100倍に達し、モノのインターネット(IoT)が扱う通信と大量の設備との接続をネイティブサポートする5Gは、鴻海の多元的な経営戦略をつなぐ最も重要な鍵となると話した。
5G研究開発チームは鴻海傘下の台揚や建漢科技(サイバータン・テクノロジー)の他、▽台揚傘下の米TelASICコミュニケーションズの研究開発チーム▽デンマークのRadioComp社▽中国の特許関連企業である賽思倍吉遠東科技顧問▽欧州の大手通信設備メーカー──の専門家から成る。謝董事長は、設備メーカーはこれまでも通信規格の制定で重要な役割を担ってきており、鴻海は密切に協力していくと表明。設備メーカーの製品開発は100万台以上の量産規模が前提となるが、量産規模はまさに鴻海の強みだと語った。
謝董事長は、製品面では鴻海はルーター、アンテナ、スモールセル(小型基地局)などに参入しており、生産コストは同業より低いと強調。また、5G時代にはミリ波を活用した製品が中心になるが、台揚が関連製品を海外企業に出荷済みと明かした。特許面では、アンテナや高効率トランスミッターの研究開発で成果を挙げており、現在特許を申請中だと説明した。規格制定は国際通信キャリアと設備メーカーが主導する見通しで、鴻海はソフトバンクとスモールセルで提携するなど良好な関係にあると話した。
証券会社は、鴻海は通信ネットワーク事業者としては後発組だが、長年培ってきた製造業者としての強みを生かしつつ、傘下の▽光ファイバーケーブル製造の台通光電(TTCC)▽通信キャリア、国碁電子(アンビット・マイクロシステムズ)▽アンビットと合併予定の亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)──などのリソースを統合すれば、5G市場で先発組に追い付けると指摘した。
特許収入、年200億ドル
経済部は10日、産官学連携による5G発展戦略の5大目標を掲げ、そのうちの一つとして、20年をめどに5G規格の知的財産権で世界シェア4%を目指すと宣言した。台湾企業に毎年100億〜200億米ドルのライセンス収入をもたらすと見込む。
経済部はその他の目標として、▽世界最大の通信端末・設備供給国▽5G対応スマホチップ供給国として世界2位以内▽台湾製スモールセルの世界シェア過半▽3種類の垂直統合型システムの発展──を挙げた。
なお工業技術研究院(工研院)は昨年、5G規格の共同開発で欧州連合(EU)と中国に協力を打診したとされる。経済部技術処は、台湾はEUの5G研究開発計画への参画を果たしており、来年以降もEUとの協力を深化させると明かした。この他、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)、OneLabとM2M(マシン・ツー・マシン)の分野で、インテルとミリ波無線技術の推進で協力していく方針だ。
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