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温室ガス削減法可決、排出超過企業に罰金


ニュース その他分野 作成日:2015年6月16日_記事番号:T00057586

温室ガス削減法可決、排出超過企業に罰金

 立法院は15日、温室効果ガスの排出量を2050年時点で05年の半分以下に削減する目標を盛り込んだ「温室ガス減量・管理法」を最終可決(三読)した。今後、政府は各事業所に排出枠を割り当て、排出量が上限に達しない企業と超える企業が過不足分を売買できる排出量取引を導入する。上限を超える企業には罰金を科す。1年以内に施行する見通しだ。産業界の6割が影響を受け、特に石化、発電、鉄鋼業者など大口排出源への打撃が大きいと予想される。16日付経済日報などが報じた。


経済部能源局(エネルギー局)の林全能局長は、新法可決前に産業界とは十分な協議を行い、産業界も同法の必要性を理解していると語った(中央社)

 温室ガス減量・管理法は06年に立法院での審議が始まり、9年かけてようやく最終可決にこぎ着けた。

 台湾では、温室ガスの二酸化炭素(CO2)排出量は05年に2億4,500万トンだった。これを50年に1億2,245万トン以下へと、91年の水準に戻すことが目標だ。

 新法成立後、温室ガスの排出枠は現在の無償割り当てから徐々に有償割り当てに切り替える。施行後12年以内に有償割り当て分を全体の10%に強制的に引き上げる。

 排出量の管理は行政院環境保護署(環保署)が行う。今後、各事業所の温室ガス排出量を調査、登録し、産業ごとに異なる排出枠を割り当てる。排出枠総量は段階的に縮小する。企業の排出量が上限を超えた場合、排出量削減プランを実行することで新たな排出枠を取得したり、他の企業から排出枠を購入できる。このため、企業には削減目標を達成しようとする経済的インセンティブが発生する。削減目標は環保署が5年ごとに見直す。

 規定の排出枠を上回った企業への罰金額は、超過分1トン当たり最大1,500台湾元(約6,000円)。また自社の排出量を過小に記載・申告した企業には、実際の排出量との差を次回割り当てる排出枠から差し引き、20万元以上、200万元以下の罰金に処す他、期限付きの改善命令を出し、改善が見られない場合はそのたびに罰金を科す。深刻な違反業者には、環保署は稼働停止、営業停止を命じることができる。

石化公会、補完措置を要求

 環保署の魏国彦署長は、年末にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に温室ガス減量・管理法を最終可決できた意義は大きいと強調した。COP21を前に同法が成立したことで、台湾は国際社会から制裁措置を受ける懸念がなくなったためだ。

 一方、石化業界団体、台湾区石油化学同業公会(石化公会)の陳宝郎理事長は、温室ガス排出の削減に向けた政府の取り組みを評価しつつも、「石化業界の現状を直視すべき」と述べ、補完措置を講じるよう要求した。

 陳理事長は、政府が掲げる温室ガス削減目標は石化産業にとっては達成が非常に困難で、仮に毎年排出量を削減するとなれば、老朽工場が閉鎖に追い込まれる他、工場拡張ができなくなり、既存工場は減産を余儀なくされると指摘。石化業界にとって、台湾の投資環境がさらに悪化すると懸念を示した。 

【図】