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バイク市場、ABS義務化で大打撃か


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2015年6月18日_記事番号:T00057642

バイク市場、ABS義務化で大打撃か

 2019年以降に出荷されるバイクにアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)またはコンバインド・ブレーキ・システム(CBS)の搭載を義務付ける方針を交通部が示したことを受け、シェアの過半を占める排気量125ccバイクがコスト増で最大2万台湾元値上がりし、台湾生産の最高級モデルで販売価格が10万元(約40万円)を上回ると予想されている。搭載義務化後、台湾生産のバイク新車登録台数は年40万台へと、昨年実績の67万4,000台から40%以上減少するとの懸念も浮上している。18日付工商時報が報じた。

 交通部はバイクによる死傷事故が多発していることから、19年以降に出荷される125cc以上のバイクにABS、124cc以下のバイクにCBSの搭載を義務付ける方針だ。交通部によると、昨年の交通事故による死傷者33万人の75%がバイク事故によるものだった。

 バイク業界には衝撃が走った。関係者によると、ABS搭載義務化でバイク1台当たりの販売価格は1万2,000〜2万元上昇し、CBS搭載によるコスト増も3,000元に達すると予想されるからだ。

 業界では、ABS、CBSの搭載義務化により、バイク市場は09年から実施した電子制御式燃料噴射装置の搭載義務化に匹敵する大きな打撃を受けるとの懸念がある。当時、電子制御式燃料噴射装置の義務化で販売価格5万元の125ccバイクは一気に7万元へ、4万元未満のバイクも5万元へと値上がりし、消費者の購入意欲を直撃。台湾生産のバイク新車登録台数は09年に47万8,000台へと、前年の85万7,000台から44%減少し、業者は軒並み赤字となった。その後、新車登録台数は▽10年、54万1,000台▽11年、63万9,000台▽12年、60万6,000台▽13年、64万5,000台▽14年、67万4,000台──へと持ち直している。

「安全向上効果は限定的」

 交通部はABS、CBSの搭載義務化でバイクによる死傷事故を減らした欧州連合(EU)に倣って追随方針を決めた。しかしバイク業者は、EUと台湾は状況が異なり、盲目的に追随しても安全向上への効果は限られると指摘した。

 バイク業者は、台湾ではライダーの多くが短距離の移動に利用しており、主流の150cc以下のバイクは法定速度が低いため、緊急時には手動の急ブレーキで停止し、ABSの出番はないと説明。台湾でのABS搭載義務化は実態に合わない大げさな措置だと批判した。

【図】