ニュース 社会 作成日:2015年6月23日_記事番号:T00057675
台湾の最高学府、台湾大学には社会的指導者層を育成するための講座「リーダーカリキュラム」が開設されている。しかしその、他人に尽くすはずのリーダーの卵たちが、登山訓練のための資金を寄付で賄おうと募金活動を行い、批判の的となっている。
募金サイト。朱教授は募金活動は継続すると語っている(22日=中央社)
台湾大学の「リーダーカリキュラム」では毎年、さまざまな学部から受講者50人が集まり、日頃からリーダーとしての考え方および知恵を身に付けるべく学んでいる。そして同カリキュラムでこのほど年度末試験の一環として、チームワークと屋外活動におけるリーダーシップを学ぶことを目的とした、南湖大山(台中市、標高3,742メートル)を9泊10日かけて縦走するという課外授業が企画された。
そして今回はその費用を募金で賄うことが初めて計画に盛り込まれた。これについて同カリキュラムで学生を指導する同大物理系の朱士維教授は「社会の真実と向き合うことが目的」として、募金に当たり学生たちに「なぜ自分たちが支援に値するか」を理解させる意図があったと説明した。
なお同カリキュラムがインターネット上に開設した募金サイトでは、1人当たり登山用装備に1万台湾元、交通費4,000元、飲食費3,000元、宿泊・雑費3,000元の計2万元。25人が参加するため総額50万元の募金が呼び掛けられている。
しかしこれに対しネット上では「山に登るのに自分の金を出さないのか」「公益とは無関係で、募金する大義名分がない」などと批判の声が相次いだ。
これについて東海大学社会工作系の曽華源教授は、「台大生はエリートと目され、社会的弱者とは言えない上、一般的に募金は他人を助けることが目的とされる中、今回は個人の利益が出発点となっているため反発を呼んだ」と分析した。
この他、サイトに掲載された企画書には「われわれの多くは将来、台湾社会で重要な役割を担うことは間違いない」などと過剰なまでにエリート意識があふれていることも大きな批判を呼んだ一因となっているようだ。
ただ今回の経験を通じて、まさに朱教授の課した「社会の真実と向き合う」という目的は達せられたとも考えられ、優れたリーダーとなるためのよい勉強となったに違いない。
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