ニュース 社会 作成日:2015年6月26日_記事番号:T00057758
台湾大学公共衛生学院が行った研究によると、粒子状物質「PM10」(大気中の微粒子のうち粒子径が10マイクロメートル=μm以下のもの)およびオゾンの長期暴露により認知症罹患(りかん)リスクが2~4倍に高まるとの結果が示された。これにより大気汚染と認知症の関連性が世界で初めて研究によって裏付けられた。
公共衛生学院は、オゾンの健康への影響はPM10ほど大きくないので、陽明山登山を避ける必要はないと強調した(中央社)
公共衛生学院は2007年から11年にかけて台北市、新北市、基隆市の認知症患者374人と健常者497人を対象とし、60歳以上の市民が13年間同じ地域に居住したと仮定して、環境保護署(環保署)の大気観測所24カ所のデータを基に調査を行った。その結果、過去13年間のPM10暴露量が49マイクログラム/立方メートル(μg/m3)以上の場合、認知症の罹患リスクが4倍に、オゾンの暴露濃度が21ppb(10億分の1を示す単位)を超えた場合、2倍に高まることが分かった。
同研究の推論では、人体に取り込まれたPM10およびオゾンは嗅神経を通じて脳神経に進入し、血液脳関門を破壊。粒子状物質やその表面に付着した有害物質が脳内に蓄積されることで炎症を起こさせ、認知機能にダメージを与えるとしている。
なお調査の結果、対象となった3市でPM10の濃度が最も高かったのは新北市三重区と蘆洲区、オゾン濃度が最も高かったのは陽明山地区となった。
公共衛生学院流行病学・予防医学研究所の程蘊菁教授は、オゾンは自動車やバイクから排出された窒素酸化物が植物の出す揮発性有機化合物と結合して発生すると指摘。陽明山は地勢が高く、植物が多く自生している他、周囲に障害物がないことからオゾン濃度が高くなりやすいようだ。このことから「山間部は空気がきれい」とは一概に言えないことが分かる。
また公共衛生学院の詹長権副院長は、中部以南の地域では大気汚染が北部よりも深刻で住民の認知症リスクはさらに高まると指摘。政府に現状を重視するよう呼び掛けている。
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