ニュース 社会 作成日:2015年6月29日_記事番号:T00057811
新北市の八仙水上楽園(フォルモサ・ウオーターパーク)で27日夜、カラーパウダーを使ったイベント中に爆発が起きて引火し、日本人女性1人を含む498人がやけどなどの重軽傷を負い、うち20歳の台湾人女性が29日午後死亡した。爆発は可燃性のパウダーにたばこかライターの火が引火して起きたとみられ、イベント責任者が業務上過失傷害罪などの疑いで取り調べを受けた。安全を軽視したずさんなイベント運営が明るみとなり、危機管理意識の欠如が大事故につながったと指摘されている。29日付聯合報などが報じた。
負傷者の多くが浮き具に横になり、水で体を冷やしながら搬送を待った(27日=中央社)
「まるで地獄」
爆発が起きた屋外の音楽イベントには、若者ら600人以上が参加していたとみられる。イベントでは26個の噴射装置を使って、ステージから客に向かってカラーパウダーを大量に吹き掛ける演出が行われていた。
午後8時30分過ぎ、ステージ近くで突然爆発が起き、会場は瞬く間に火の海と化した。客は悲鳴を上げて逃げ惑い、目撃者は「地獄のようだった」と語った。
新北市衛生局によると、28日午後6時時点で498人が台北市、新北市などの病院43カ所に搬送された。うち重傷者は202人だった。このうち体の90%にやけどを負った台中市の女性(20)は救命措置を受けたが蘇生は不可能と判断され、家族の同意の下、29日午後に生命維持装置が外され死亡が確認された。今回の爆発事故による初の死者となった。
警察は、空気中のパウダーが一定の濃度に達し、火元に触れて引火した「粉じん爆発」が起きたとみている。会場の地面いっぱいにたばこの吸い殻が、出火地点からライター10個余りが見つかり、たばこが出火原因の可能性が高い。ただし音響機器などから火花が出て引火した可能性もあるとして、捜査を進めている。
八仙水上楽園は営業停止処分を受けた。また、毛治国行政院長は「安全性が確認されるまでカラーパウダーの公共イベントでの使用を禁止する」と発表した。
主催者、禁煙徹底せず
イベント主催者は玩色創意国際(台北市)。責任者の呂忠吉氏(42)は保釈金100万台湾元(約400万円)で保釈された。
呂氏は保釈後、ひざまずいて謝罪し、責任を果たすと強調した(28日=中央社)
呂氏はカラーパウダーの危険性を認知しながらもスタッフや客に注意を呼び掛けておらず、会場での禁煙を徹底するようスタッフに指示しなかったことを認めた。
法曹界関係者によると、業務上過失致死傷害罪の刑期は5年以下。負傷者の多さから呂氏は非常に重い刑事責任を負うことになるとみられる。
ずさんな危機管理
呂氏は以前、「カラーパウダーは食用でんぷんや色素を使用している」と発言していた。これについて専門家は、食用でんぷん粉、金属粉を問わず、粉末が小さく可燃性があり、濃度が十分に高まれば、火元がなくとも静電気などで引火する可能性があると指摘した。
また検察によると、イベント会場には消火器1個しか用意されておらず、危機管理の意識が欠如していたもようだ。
さらに、八仙水上楽園と玩色創意国際は事故を想定した負傷者の救助経路を確保していなかった。救急車が入り口付近で渋滞に巻き込まれて速やかに到着できず、スタッフによる誘導もなかったという。このため貴重な救出時間を逃す結果となった。
八仙水上楽園も連帯責任
八仙水上楽園の陳慧頴総経理は28日、「当社はイベント用に場所を貸しただけだ。主催者に安全に注意するよう指示した」と述べたが、責任逃れの発言として批判を集めた。
交通部観光局は、八仙水上楽園も連帯責任を負うと強調。ある弁護士は、八仙水上楽園にはイベントの安全性を審査する義務があったと指摘し、主催者と連帯して賠償責任を負う可能性があるとの見方を示した。
資産仮差し押さえへ
責任は八仙水上楽園の株主にも及びそうだ。新北市法制局の黄怡騰局長は、資産の隠匿を防ぐため、早期に八仙水上楽園の財産仮差し押さえを裁判所に申し立てる意向を示した。その上で、株主の士林紙業や万海航運(ワンハイラインズ)も連帯責任は避けられないと強調した。ただし万海は「八仙水上楽園に出資していない」と表明している。
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