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八仙爆発事故の医療費6億元も、献血など支援の輪広がる


ニュース 社会 作成日:2015年6月30日_記事番号:T00057840

八仙爆発事故の医療費6億元も、献血など支援の輪広がる

 新北市八里区のウオーターパーク、八仙水上楽園で27日発生した、カラーパウダーを使ったイベントでの粉じん爆発事故に関して蒋丙煌衛生福利部長は29日、全民健康保険の支出は2億〜6億台湾元(約8億〜24億円)かかるとの試算を示した。侯友宜新北市副市長は同日、全民健康保険で賄えない部分は同市が責任を持つと表明した。企業や民間からの義援金は1億6,000万元に上り、新北市衛生局に大量の医療物資が届いた他、献血者が倍増するなど、被害者支援の輪も広がっている。30日付蘋果日報などが報じた。


侯新北市副市長は、八仙水上楽園がかけていた保険は上限5,000万元にすぎず、賠償額は確実に上回ると述べた(29日=中央社)

 衛生福利部の統計によると、29日午後6時時点で、負傷者499人のうち393人が7県市46カ所の病院で治療中で、うち221人は集中治療室に入っている。死者は1人。

 蒋衛福部長は、昨年夏の高雄爆発事故より負傷者が多く、やけどは長期リハビリを要するので、各界からの義援金の他、政府も協力し、被害者の負担を減らしたいと語った。

 蔡淑鈴衛福部中央健康保険署副署長は、これまでにかかった医療費の自己負担分はまず健保署が立て替え払いし、新北市政府に補助を申請できるので、被害者は治療に専念してほしいと語った。

 侯新北市副市長は、同市が被害者に代わり、イベント会場を提供した八仙水上楽園やイベント主催者の玩色創意国際(台北市)に対し、徹底的に責任を追及すると強調した。

 八仙水上楽園の陳慧頴総経理は同日、被害者の医療費のために1億元規模の公益信託基金を設立すると発表した。八仙水上楽園は営業を停止している。

企業・民間から1.6億元

 新北市が開設した口座には、台湾銀行など政府系9行の5,000万元をはじめ、▽鴻海精密工業、2,500万元▽富邦金融控股、2,000万元▽国泰金融控股、2,000万元▽広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、1,000万元▽新光集団、1,000万元▽裕隆集団、1,000万元▽上緯企業(スワンコー)の蔡朝陽董事長、1,000万元──など企業から1億5,000万元以上、民間から690件1,514万元の義援金が集まった。

 遠東集団(ファーイースタングループ)は医療用品5万件、傘下企業が特許を保有する創傷被覆材1万7,000枚を病院に寄付した。

 台湾形体美容整合医学会は同日、医療・美容の診療所100軒以上が、被害者に対し医薬品の交換や傷口の縫合を無料で行うと発表した。

 行政院の孫立群報道官は、医薬品や医薬材料は3日間は問題なく、14日間も見通しが立っており、消耗が多い軟こうも在庫が1万瓶、業者が1日3,000瓶のペースで生産しているので、心配いらないと説明した。

 一方、医師出身の柯文哲台北市長は、やけどでは通常、初日には死亡せず、3日後以降の感染が問題だと語った。


負傷者5人が搬送された中国医薬大学附設医院は、うち4人は広範囲にやけどを負っており、生命の危機に面していると説明した(29日=中央社)

献血時期の分散呼び掛け

 北部の献血者は同日200人以上と平日平均の60人を大きく上回った。台湾血液基金会は、在庫は1カ月半と十分で、血液は有効期限があるため、献血時期を分散するよう呼び掛けた。

 インターネットのフェイスブック(FB)やヤフー奇摩などには、被害者や家族に対する励ましの声が相次いだ。海外で仕事中のモデル、林志玲(リン・チーリン)は、事故で全身の95%にやけどを負った男子学生(19)に対し、励ましのボイスメッセージを送った。

相次ぐ人災は「台湾の恥」

 同日付自由時報は社説で、粉じんが爆発事故を起こす可能性があるとの認識、危機管理意識が欠けていたために、わずか1秒で若者たちを生命の危機にさらしたと指摘。ここ数年、公共の場で安全を脅かす事件が続いているのは、万一を想定した準備を怠っているためで、こうした人災は台湾の恥だと訴えた。