ニュース 電子 作成日:2015年7月17日_記事番号:T00058192
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16日、半導体市場の今年の成長率予測値を従来の4%から3%に、ファウンドリー市場は10%から6%へとそれぞれ下方修正したと発表した。TSMCの下方修正は今年2度目。米ドル高による通貨安を背景に新興国の需要が下火になり、上半期に半導体サプライチェーンの在庫消化ペースが予想を下回ったためだ。17日付工商時報などが報じた。
証券会社の質問に答える張董事長。今回の業績説明会では、業績と開発の報告は劉徳音氏と魏哲家氏の2人の共同執行長に任せ、自身は質問にのみ回答した(16日=中央社)
TSMCの張忠謀(モリス・チャン)董事長は、正常な水準への在庫調整は第4四半期末まで続く可能性があると指摘。ただ、同期末に正常な水準を下回る可能性があり、そうなれば例年は非需要期である来年第1四半期の業績にプラスに働くとの見方を示した。
張董事長は、TSMCは昨年、受注が旺盛で大幅増収を遂げたが、市場の需要が予想ほど強くなかったため、今年第1四半期に在庫が積み上がったと説明した。劉徳音TSMC共同執行長は、第1四半期の半導体在庫日数(DOI)は例年より長かったと指摘。第2四半期末には消化されると踏んでいたが、実際の消化量は半分にとどまったと明かした。ただし、第3四半期に在庫の大部分が消化されると見込む。
TSMCによると、第2四半期の在庫水準は世界金融危機の影響が広がった2008〜09年に次ぐ異例の高さで、今年の在庫調整がもたつく要因となっている。在庫水準が高まった背景には、中国および新興市場でスマホ販売が予想を下回ったことなどがある。
なお、張董事長は、今年はTSMCの業績は減速するものの、2桁増収は維持できると自信を見せた。
Q3は小幅増収予測
TSMCが同日発表した第2四半期の連結売上高は前期比7.5%減、前年同期比12.2%増の2,054億4,000万台湾元(約8,200億円)だった。TSMCは、顧客の慎重な在庫調整と為替レートの影響で前期比減収となったが、同社の予想通りだったと指摘した。一方、同期の純利益は前期比0.5%増、前年同期比33%増の794億1,700万元で、過去2番目の高水準だった。
第3四半期の見通しについては、サプライチェーンの在庫調整が続くことや顧客の新旧製品の端境期など不確定要素が多いため、連結売上高を前期比0.7〜2.2%増の2,070億〜2,100億元と予測した。
10ナノでインテル抜く
先進プロセス開発競争では明るいニュースがあった。張董事長は、10ナノプロセスは従来計画通り16年第4四半期に試験生産、17年第1四半期に量産出荷すると表明した。一方、ライバルのインテルは10ナノ量産を17年下半期に延期すると発表しており、TSMCが先進プロセス開発で初めてインテルに追い付き、しかも約2四半期リードする見通しとなった。
証券会社は、TSMCは10ナノでアップルの次々世代「A10」プロセッサーの多くを受注する可能性が高まったと指摘した。
張董事長は、TSMCは現在7、5ナノの研究開発(R&D)を進めていると明かした。7ナノと10ナノは製造プロセスが近いため、10ナノで5四半期出荷した後に7ナノを推進することになると予測。7ナノは17年第1四半期に試験生産、18年第2四半期に量産すると予想している。
張董事長はまた、16ナノは第3四半期に量産を開始したと明かし、売上構成比はまだ低いものの、第4四半期に急速に高まり、20ナノを超える成長率を見せるとの見通しを示した。
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