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李元総統が東京で講演、「台湾に第2次民主改革を」


ニュース 社会 作成日:2015年7月23日_記事番号:T00058276

李元総統が東京で講演、「台湾に第2次民主改革を」

 訪日中の台湾の李登輝元総統(92)は22日午後、東京都内の衆議院第1議員会館で衆参両院の国会議員286人とその秘書らを前に日本語で講演し、自らの民主改革の歩みに触れつつ、台湾での「第2次民主改革」の必要性を訴えた。李元総統の訪日は退任後7回目となるが、台湾の政治家が国会関連施設で講演を行ったのは初めてだ。


李元総統(右)は日本の国会議員に対し「台湾への関心を寄せ続けてほしい」と呼び掛けた(22日=中央社)

 講演は超党派による「李登輝先生の講演を実現する国会議員の会」の主催で開かれた。

 李元総統は「台湾のパラダイムの変遷」と題する講演で、戦後の台湾を統治した国民党政権を「外来政権」と位置付け、蒋経国元総統の死去で総統に就任して以降、12年間にわたる在任期間に進めた「第1次民主改革」の成果を強調。「幾多の困難にぶつかったが、終始国民からの支持を受けながら、経済成長の維持、社会の安定を背景に、ついに一滴も血を流すことなく、6度にわたる憲法改正によって静かなる革命を成就させた」と述べた。

 その上で、「常に人々が夜安心して眠れる社会にしたいと夢中で務めた12年間の総統だったが、曲がりなりにも台湾に民主社会を打ち立てることができたのは私の生涯の誇りとするところだ」と語った。

 また、中台関係については、任期中の1998年に台湾省の凍結に踏み切ったことを引き合いに出し、「中国は『一つの中国、台湾は中国の一部』という主張を繰り返しているが、我々は決して同意できない。台湾は一つの省にすぎないという虚構と矛盾を放置していたら、いつまでも台湾と中国は一体だと国際社会に誤解を与え続けるようなものだ」と指摘。在任中に制定した「国家統一綱領」をめぐっては、「中国が自由化、民主化されるような日は、半永久的に来ないと思っていた」と発言した。

 李元総統はさらに、台湾が現在置かれている状況について、昨年のヒマワリ学生運動の例を挙げつつ、「今や第1次民主改革の成果は極限に達しており、台湾はまさに第2次民主改革が必要とされている」と指摘。「私は現在92歳。長く見積もっても台湾のために働けるのはあと5年ぐらいだろうと感じている。残りの人生は台湾により一層成熟した民主社会を打ち立てるためにささげたい」と講演を締めくくった。