ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

反指導要領運動の学生、自殺


ニュース 社会 作成日:2015年7月31日_記事番号:T00058440

反指導要領運動の学生、自殺

 与党国民党主導で改定された高級中学(高校)の学習指導要領(国語、社会分野)に反対する反黒箱課綱(反密室指導要領)運動の北部広報担当、林冠華さん(20、男性)=荘敬高級工業家事職業学校退学=が30日朝、自宅の密室で木炭を燃やし、一酸化炭素中毒で死亡しているのが見つかった。警察は自殺と断定した。


亡くなった林さん(中)。台湾の民主主義発展に関心を寄せ、反密室指導要領運動ではリーダー的存在だった(30日=中央社)

 31日付蘋果日報などによると、林さんは自殺当日が20歳の誕生日だった。新北市政府教育局は、今月28日の段階で林さんが「20歳まで生きられない」などと話していたとの情報を入手し、教育部で焼身自殺を図る可能性があるとして、警察や学校側に注意を呼び掛けていた。直前まで林さんの母親は「息子に変わった様子はない」と学校側に説明していたが、その後に息子が部屋の鍵を締め、室内が焦げ臭くなったため、母親が警察に通報。室内に倒れている林さんが見つかった。

 これに先立ち、林さんは今月23日夜、運動に参加する21人と共に教育部の建物内に侵入し、教育部長の執務室を占拠したとして逮捕されていた。 

 父親は「うつなどで通院歴や自殺未遂があった。息子の死と反密室指導要領運動には必然的な関係はない。両者を結び付けるべきではない」と語った。

 呉思華教育部長は30日夜、林さんの自宅に弔問に訪れ、「指導要領が論議を呼んだことを残念に思っている」などと述べた。周囲の運動参加者からは「殺人犯!」などという怒号が飛んだ。

 さらに運動参加者約100人は、同日夜に教育部を包囲。約30人が立法院前の広場に侵入し、指導要領撤回に向けた立法院臨時会の招集などを求めるなどした。

 台湾社会では、林さんの自殺を1989年に台湾独立を主張して焼身自殺した評論家、鄭南榕さんと重ね合わせる声も上がり始めている。自殺の動機に不明な点はあるが、林さんの死をきっかけに反密室指導要領運動がエスカレートするのは避けられない状況だ。