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海巡署に新型巡視船、尖閣放水戦の汚名そそぐ


ニュース 社会 作成日:2015年8月4日_記事番号:T00058491

海巡署に新型巡視船、尖閣放水戦の汚名そそぐ

 台湾の沿岸警備を担う海岸巡防署(海巡署)海洋巡防総局は3日、台湾の領海に侵入して操業する中国の漁船を取り締まるため、5カ所の海域に巡視船およびヘリコプターを一斉に出動させた。その中には6月に進水式を済ませたばかりの3,000トン級の新型巡視船「宜蘭艦」も含まれており、同艦から勢い良く発射された放水に、同行した漁船に乗った漁師から歓声が上がった。

 3年前の2012年、日本による尖閣諸島(沖縄県石垣市、台湾名・釣魚台列嶼)国有化に抗議して台湾の漁船40隻が周辺の日本領海に侵入した事件を受け、日本の海上保安庁と台湾の海岸巡防署(海巡署)の巡視船が「放水合戦」繰り広げた。しかし日本側の放水が長い射程距離を見せたのに対し、台湾側の放水はまったく相手側に届かず、この映像を目にしたネットユーザーなどから「まるで子供のおしっこだ」と揶揄(やゆ)する声が上がった。

 当時の抗議活動に参加した宜蘭県の陳春生・蘇澳区漁会(漁協)理事長は「海の上でけんかする時は強力な後ろ盾がなければ、相手にばかにされることを身に染みて感じた」と語った。しかしその後、馬英九総統が陳理事長らに接見した際、「海上での『日台交戦』を目にして危機感を抱いており、漁民を守るためにより多くの予算を計上すべきと感じる」との認識を示し、これがきっかけとなって「宜蘭艦」の建造に至った。

 今回、中国漁船による違法操業に抗議するため、45隻の漁船を引き連れて巡視船とともに海へ乗り出した陳理事長は、「宜蘭艦」が勢い良く放水して漁師たちにその威力をアピールする姿を目にし、「涙があふれそうになった」と喜んだ。

 なおこの日、海巡署は基隆、台中、澎湖、金門、馬祖の各海域で一斉に取り締まり活動を展開し、台湾の領海に侵入して操業していた5隻の中国船をだ捕した。