ニュース 電子 作成日:2015年8月6日_記事番号:T00058568
スマートフォン市場に頭打ちの気配が見える中、ノートパソコン受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は第3四半期のスマホODM(相手先ブランドによる設計・製造)受注が520万台、第4四半期が415万台と2四半期連続で鴻海精密工業を上回り、台湾受託メーカーで首位となる見通しだ。6日付工商時報などが報じた。
電子時報系の市場調査会社、デジタイムズ・リサーチによると、受託メーカーの下半期スマホ出荷は、非需要期が影響し、新規受注で既存顧客からの受注減少を補い切れない見通しだ。受託生産メーカーに宏達国際電子(HTC)、華碩電脳(ASUS)などOBM(オリジナルブランド製造)を加えた台湾メーカー全社の出荷予測は第3四半期が2,135万台、第4四半期が2,123万台と、いずれも第2四半期の2,207万台を下回る予測だ。
そんな中、コンパルは中国の楽視網(Letv)、TCL集団、インドのマイクロマックスなど新規顧客が見込める上、既存顧客マイクロソフト(MS)のローエンド機種「ルミア」の受注200万台が下支えして、低迷するソニーモバイルコミュニケーションズからの受注減少の打撃を緩和し、下半期のODM受注が前期比10%増える予測だ。
コンパルは昨年のODM、OEM(相手先ブランドによる生産)を合わせた携帯電話の出荷台数が2,000万台で、今年は4,000万台への倍増が目標だ。ただ、上半期の出荷台数は1,200万〜1,600万台で、中国市場の縮小を受けて目標達成率は30〜40%にとどまった。陳瑞聡総経理は先日、目標達成は困難だが50%成長は堅いと強調。一方、主力のノートPCについては、第2四半期需要が予想に届かず、通年の出荷目標4,300万台にプレッシャーがかかると述べていた。
ASUS、Q4に全体首位か
ASUSは「ZenFone2」人気で第3四半期出荷が500万台に上り、HTCを抜いて台湾OBMの首位に浮上、第4四半期は台湾メーカー全社の首位に立つ可能性がある。
HTCは下半期も低迷し、2〜3位どころか4位以下に転落する恐れがある。鴻海は「エクスペリアM4アクア」の出荷増が続くものの、その他ソニー製品がライフサイクル終了(EOL)を迎え、3〜4位となる見通しだ。華冠通訊(アリマ・コミュニケーションズ)はソニーやLGエレクトロニクスからの受注で第3、第4四半期ともに5位の予測だ。
けん引役が不在
市場調査会社、ストラテジー・アナリティクスによると、世界スマホ市場の第2四半期出荷は3億4,000万台に上ったものの、前年同期比15%増と、世界金融危機の影響が出た2009年第3四半期以降で最低の伸びとなった。同社は、中国、米国、欧州など主要市場がほぼ飽和状態のため、例えば折り曲げ可能(フレキシブル)、折り畳み可能(フォルダブル)パネルを採用するなど、外観やデザインに大きな違いを出せない限り、需要を喚起できないと指摘した。
首位サムスン電子の第2四半期出荷は前年同期比3.49%減の7,190万台で目標の9,000万台に届かなかった。2位以下は▽アップル、34.9%増▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、51.7%増▽小米科技(小米、シャオミ)、31.1%増──と大きく伸びた。5位の聯想集団(レノボ)は31.9%減の1,620台と、上位5社で最大のマイナスだった。中国での販売不振、および昨年買収したモトローラ・モビリティが新旧製品の入れ替え時期(端境期)に当たったことが原因だ。
一方、市場調査会社、カナリスによると、中国の第2四半期スマホ市場は首位が小米(シェア15.9%)、2位がファーウェイ(シェア15.7%)とミドル〜ローエンド機種に強い中国勢が占め、アップルはシェア11.1%(前期14.7%)で3位に転落した。金融機関のブローカー、BGCパートナーズは、ユーザーがスマホを買い替えるまでの期間が延びており、市場は頭打ちになりつつあるのではないかと語った。また、アップルはiPhoneだけに頼っていては、新しい成長エンジンを見つけ出し、平均価格を引き上げることはできないと指摘した。
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