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台風13号猛威、インフラの被害深刻


ニュース 社会 作成日:2015年8月10日_記事番号:T00058622

台風13号猛威、インフラの被害深刻

 大型で強い台風13号(アジア名・ソウデロア)が8日午前台湾を横断し、水道、電気、交通などインフラを直撃した。河川の増水で全土42万9,000世帯の水道が一時給水停止となり、飲料水を買い求める消費者が量販店などに殺到した。停電は過去最大規模の434万世帯に上ったが、9日夜までに95%が復旧し、10日中の完全復旧を見込む。10日付聯合報が報じた。


大台北地区の水道水が濁ったのは初めてのケースで、カルフールでは飲料水が通常の5倍以上売れたという(9日=中央社)

 水道事業者の台北自来水事業処は、大台北地区(台北市、新北市)150万世帯に減圧給水(減水)措置を取ったが、9日夜までに台北市の大部分が復旧しており、新北市板橋区、新荘区、土城区、泰山区の5万世帯は10日中に復旧する予定だ。減水措置は、暴雨で表面土壌が流され、新店渓の支流、南勢渓の濁度が3万度と通常の1,000倍以上に悪化したためだ。一方、台中市に水を供給する大甲渓の濁度も1,000倍を超え、台中市の大肚区、烏日区、龍井区、沙鹿区、台中工業区は完全復旧まで1週間かかる見通しだ。

 水道をひねると濁った水が出てきたと水道事業者に苦情の電話が殺到した他、量販店に水を買い求める消費者が押し寄せた。家楽福(カルフール)は、午前9時の開店前から行列ができ、30分で飲料水が売り切れたため、貨物車20台分を補充したがすぐに品切れになり、1999年9月の台湾中部大震災以来の事態だと指摘した。

 台湾電力(TPC)は9日中に大台北地区の電気復旧を目指していたが、街路樹の倒伏や土砂崩れで道路が遮断されるなどしていたため、予定通り進まなかった。動員人数は4,000人以上。9日夜まで停電が続いたのは、▽台北市、2,000世帯▽新北市、1万3,000世帯▽桃園市、1万1,000世帯▽台中市、1万9,000世帯▽彰化県、2万世帯▽台南市、3,000世帯▽高雄市、1,000世帯──など。

 桃園国際空港は8日、366便が欠航、遅延し、数万人の足に影響が出た。翌9日は早朝からロビーが出境者であふれ、航空会社のカウンターの前に長い行列ができた。費鴻釣・桃園空港総経理は、春節(旧正月)並みの旅客者数延べ12万人を想定していると話した。

烏来、陸の孤島に

 内政部消防署の9日午後6時まとめによると、台風13号による死者は7人、けが人は402人。8日午後に家屋への浸水で死亡した男性(80)を含む死者2人は温泉街で有名な烏来地区(新北市新店区)の住民だった。


烏来には陸軍が9日救出に乗り込み、107人が無事下山した(9日=中央社)

 烏来地区は7日夜からの風雨で外部と唯一つながる道路の新烏路が遮断された上、中華電信などの基地局も損害を受け、一時は陸の孤島と化した。村民が8日夜、徒歩で下山して救助を求め、9日夜までに3,100人の無事が確認されたが、4人が行方不明のままだ。台湾の救助隊に国際協力NGOピースウィンズ・ジャパン(PWJ)10人と救助犬2匹が協力し、捜索を続けている。露天温泉は山からなだれ込んだ土石流で埋もれている状況だ。

 行政院農業委員会の10日発表によると、農林水産物や施設の被害総額は10億35万台湾元(約39億円)。被害を受けて野菜や果物の卸売価格は9日、1〜2割上昇した。雲林県や台南市などでは中秋節(旧暦8月15日、今年は9月27日)の贈答用に収穫を控えた文旦(ブンタン)が強風で3〜5割落下したため、価格上昇が懸念されている。