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台電職員はつらいよ、停電にいら立つ市民から殴打も


ニュース 社会 作成日:2015年8月11日_記事番号:T00058625

台電職員はつらいよ、停電にいら立つ市民から殴打も

 大型で強い台風13号(アジア名・ソウデロア)が来襲した影響で8日以降、台湾各地で大規模な停電が発生し、一部エリアでは約2日間にわたり電力供給が途絶えた。こうした中、長引く停電にいら立ちを募らせた市民が台湾電力(台電、TPC)の営業所に抗議に押し掛けたり、さらには復旧に当たる作業員が殴打される事件も発生した。


台電の作業員は多くの市民から「縁の下の力持ち」とたたえられた。殴打された職員も暴風雨の中、朝から午後まで昼食も取らずに作業に当たっていたという(中央社)

 今回の台風では、過去最多の434万世帯が停電になった。台電は復旧に努めたものの、規模が大き過ぎたため人手が足りず、48時間以上電気が来ないというケースも少なくなかった。

 雲林県でも31万世帯が停電となり、台電は204人の作業員を動員して、雨の中復旧に当たらせたものの、9日午後になっても2万世帯で停電が続いていた。

 そんな中、同日午後2時15分ごろ、修理班の班長として同県二崙郷で電線の修理に当たっていた台電職員が複数の男に取り囲まれ、復旧が遅いと不満をぶつけられた揚げ句に殴られる事件が発生した。

 通報を受けて警察が調べたところ、なんと現職県議会議員の夫で、自身も県議員を務めた経験を持つ楊国寛容疑者(62)が暴行を主導していたことが判明。楊容疑者は犯行を認めて謝罪した上で「市民から何とかしてくれという要望が相次いだため、台電の営業所に電話したが誰も出なかった。腹が立ち、酒を飲んでいたせいもあって理性を失ってしまった」と釈明した。

 この他、全市の過半に当たる38万世帯が停電となった桃園市でも復旧作業に遅れが生じたことから、市議会議員などに地元住民からの陳情が相次いだらしく、一部の議員が台電に地元の復旧を優先させるよう圧力を掛けるケースがみられた。鄭文燦市長がこれに対し「こうした行為は票目当ての(有権者に対する)便宜供与と同じだ」と厳しく非難し、台電に対しては圧力に屈せず、計画的に復旧に当たるよう要求する事態となった。

 きょう(11日)午前10時時点で依然、2万9,000世帯で停電が続いているそうだが、台電には暴力や圧力に屈することなく、効率的かつ公平に復旧を進めてもらいたいものだ。