ニュース 食品 作成日:2015年8月13日_記事番号:T00058706
中国人民銀行(中央銀行)が人民元の対米ドル基準値を切り下げ、台湾元も続落したことを受け、食品最大手、統一企業(ユニプレジデント)の羅智先(アレックス・ルオ)董事長は12日、中台通貨の続落は原材料の輸入価格上昇につながり、食品業界が大きな打撃を受けると懸念を示した。個人消費が一段と落ち込むことも予想し、中台市場で下半期景気動向への警戒感がさらに強まったと語った。13日付経済日報などが報じた。
羅董事長(右)は、中国でどれだけ為替リスクをヘッジしようとしても、当局のご意向1つで為替差損が生じると嘆いた(統一企業提供)
中国人民銀行は11日に人民元の対米ドル基準値を1.9%切り下げたのに続き、12日には1.6%切り下げた。これを受け台湾元も連れ安となり、同日に過去5年余りの最安値となる1ドル=32.465台湾元まで下落した。前日比の下落幅は1.19%と過去4年で最大だった。なお、中国人民銀行は13日にも人民元を1.1%切り下げた。3日連続の切り下げは異例だ。
羅董事長は、統一企業は中国で原材料の多くを米ドル建てで輸入しており、人民元の大幅下落は原材料の値上げに直結すると指摘。同時に、中国の食品市場は生産過剰状態で競争も激しいため製品の値上げは困難で、価格競争は今後激しさを増すことが予想されるため、同社は下半期の競争に身構えていると語った。
今後の対策として羅董事長は、経営管理体制の調整を続け、製品の価値向上と価格引き下げを目指したいと語った。
鴻海は人民元安で恩恵
一方、人民元安で鴻海精密工業傘下の富智康集団(FIHモバイル)は恩恵を受ける見通しだ。中国を主な生産拠点とするFIHは100万人以上の従業員の給与を人民元で支払っているが、アップルなどを大口顧客に持ち売り上げの9割以上が米ドル建てだ。このため、人民元下落は同社の中国での生産コスト低下につながると予想されている。
アップル、中国で値上げか
ただ、市場アナリストは、人民元安を受けてアップルが中国での製品販売価格を引き上げる可能性があると予想した。そして、実際に値上げとなれば消費意欲を落ち込ませて、9月発表とされるスマートフォン新機種、iPhone6sを含めたアップル製品の販売に影響し、受託生産の鴻海や和碩聯合科技(ペガトロン)、スマホ用カメラレンズを供給する大立光電(ラーガン・プレシジョン)など台湾サプライヤーに打撃となると予測した。
なお、パソコン大手の宏碁(エイサー)と華碩電脳(ASUS)は12日、現時点で中国で製品販売価格を引き上げる計画はないと表明した。
「人民元下落は続かない」
今後の焦点は、人民元と台湾元の下落がどこまで続くかだ。人民元の対ドル基準値は3日間で計4.65%切り下げられたが、ロイター通信によると、中国政府系シンクタンクの上級エコノミストから「10%以内の下落なら制御可能だ」とさらなる人民元安を求める声も出ている。
ただ、中国人民銀行は12日、中国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)から判断して、人民元の下落が続くことはないと強調。同行には外国為替市場に介入して無秩序な荒い値動きを防ぐ能力があり、世界の通貨安競争を招くような人民元安誘導は行わないと表明した。
1ドル=34台湾元まで期待
一方、台湾の銀行業界は、台湾の中央銀行(中銀)は輸出競争力維持のため、1ドル=32.5台湾元までの元安は容認すると予想。今後の見通しは人民元と他のアジア通貨の動向次第とみられる。
工作機械部品大手、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)の卓永財董事長は、1ドル=34台湾元まで元安が進んでやっと機械産業や電子などハイテク産業の輸出が恩恵を受けるとの見方を示した。
【図】
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