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レノボ苦戦で好機、ASUS・エイサーがスマホ強化


ニュース 電子 作成日:2015年8月17日_記事番号:T00058760

レノボ苦戦で好機、ASUS・エイサーがスマホ強化

 中国のパソコン大手、聯想集団(レノボ)がスマートフォンなどのモバイル事業で初めて成長の壁にぶつかり、大規模な人員削減を含む事業再編を計画する中、華碩電脳(ASUS)と宏碁(エイサー)がレノボの苦戦を好機と捉え、スマホ新製品を今月それぞれブラジルとカナダに投入する。現地需要を取り込み世界シェアと利益の拡大を狙う。17日付経済日報などが報じた。


ASUSはインドで成功した口コミを利用するバイラルマーケティングの手法をブラジルでも取り入れる計画だ。写真はインドで今月開催したスマホ体験イベント(同社リリースより)

 レノボは先週発表した4~6月期決算で、スマホやアンドロイドのタブレット端末などのモバイルビジネス部門で2億9,200万米ドルの税引き前損失を計上した。スマホが中国や南米市場の競争激化で苦戦したことなどが原因だ。同社はコスト削減に向け全従業員の5%に相当する3,200人の人員削減など事業再編に約6億米ドル、スマホ在庫の処分に約3億米ドルの追加支出を予定している。

 こうした中、ASUSは現地時間20日(台湾時間21日)、ブラジルでスマホ「ZenFone2」の新製品を発表する。年内の新機種販売目標は約100万台と前年比倍増を狙っているもようだ。レノボはブラジルの携帯電話市場でシェア21%とサムスン電子に次ぐ2位に付けており、ASUSはレノボの勢力圏に打って出る構えだ。

 一方、エイサーはスマホ「Liquid Jade Z」と「Liquid Z410」の新モデルを今月中にカナダで発売する。薄型軽量で持ち運びしやすい点を訴求する。

 エイサーの陳俊聖(ジェイソン・チェン)執行長はかねてより、スマホ事業では利益度外視で量を求めることはせず、スマホ業界再編で勝ち組として生き残ると強調していた。同社のスマホ事業は上半期、売上構成比が全体の2%にとどまり、依然黒字転換していない。今後は「Liquid Jade」シリーズや「Liquid M220」の出荷拡大が利益拡大の鍵を握るとみられる。

台湾サプライヤーに緊張

 一方、レノボの事業再編計画発表を受けて、組み立てや部品などの台湾サプライヤーには緊張が走っている。

 陳旭東シニア副総裁は、サプライチェーンの再構築は利益成長に向けた一環で、中でも納期の大幅短縮が最も重要になると明かした。レノボと傘下のモトローラ・モビリティの製品の納期をそれぞれ6週間へと、現在の8週間、16週間から縮小すると述べた。既にサプライヤーに納期短縮を要請したとされ、ノートPCやタブレットなどの組み立てを受託する仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、緯創資通(ウィストロン)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)などが影響を受けるとみられる。

 また、レノボの事業再編はモバイルビジネス部門が中心になるとされ、証券会社によると、納期短縮でレノボの部品サプライヤーは受託メーカーより大きな影響を受ける見通しだ。レノボはスマホの大部分の組み立ては中国メーカーに委託しているが、重要部品は▽銅箔基板(CCL)の台光電子材料(エリート・マテリアル)▽IC設計の威盛電子(VIAテクノロジーズ)▽ヒンジなどの新日興(SZS)▽デジタルカメラ受託生産の華晶科技(アルテック)──など台湾メーカーから調達している。

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