ニュース 社会 作成日:2015年8月21日_記事番号:T00058841
毎年のように台風の来襲を受け、たびたび大規模な被害に悩まされる台湾では、より正確な予測のため、台風の上空に飛行機を飛ばし、観測機器を投下して風向きや風速などを調査する「追風計画」を実施している。しかし、厳しい気候条件の中での任務は困難を極め、現在、台湾に接近中の台風15号(アジア名・コーニー)に関する情報収集のため、20日にも観測機が出動したが、上空でひょうに襲われ、作戦の途中で引き返す事態となった。
ひょうでフロントガラスにひびが入った「アストラ」。乗員の対応が良く、無事に着陸に至った(20日=中央社)
「追風計画」は中央気象局、台湾台風洪水研究センター、台湾大学、および航空機・部品メーカーの漢翔航空工業(AIDC)が共同で2003年より実施する、アジアで唯一の航空機を使用した台風観測だ。
気象局予報センターの黄椿喜課長によると、20日の任務では、漢翔航空のジェット機「アストラ」が早朝5時に台中清泉崗空港を離陸し、上空1万3,000メートルまで高度を上げた後、コーニーの暴風域に入り、観測機器の投下を開始した。
当初の計画では合計15カ所で投下を行う予定だったが、6カ所目で作業を行っている最中にひょうの襲撃を受けてフロントガラスにひびが入り、12カ所目の投下を終えた時点で亀裂がさらに深刻化、機内の気圧に過度な上昇がみられた。このため観測チームは残りの任務を中止して引き返すことを決め、午前9時に無事、空港へ戻った。
なお今回、観測ができなかった3カ所については台風の外郭部に位置するため、観測結果の大勢に影響は出ないという。
今回の任務に参加した漢翔航空の飛行教官は、「追風計画」の任務では常にひょうの混じった雨や風、乱気流に悩まされ、機体の塗装がはがれたり、表面が陥没するといった事態に見舞われると説明。「今回は飛行の安全に影響が出なかったからよかったが、任務の危険度は一般人には想像もできないものだ」と話した。
「追風計画」に基づく観測飛行はこれまで74回行われ、58の台風を観測してきたが、ひょうで機体破損が原因で任務を中断したケースは今回が初めてだという。観測チームが命がけで集めたデータを有効に活用して、災害の予防に努めてほしいものだ。
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