ニュース 電子 作成日:2015年9月1日_記事番号:T00059047
スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)は10月31日までに新店本部(新北市)で従業員200人、桃園工場で400人を解雇する。両市の労工局が明らかにした。HTCは経営不振を受け今月13日、全従業員の15%に当たる約2,250人を削減すると発表していた。同社は従業員の8割を台湾で雇用しているため、台湾での人員削減数は計1,000人を上回り、今後も台湾での解雇が相次ぐと予想されている。1日付工商時報などが報じた。
HTC桃園工場。従業員に労働基準法の規定以上の解雇手当を支給するかについて、同社はコメントを控えた(31日=中央社)
新北市労工局は31日、先週28日にHTCから新店本部における解雇計画書を受け取ったと明かした。新店本部は研究開発(R&D)と事業運営が中心で従業員は2,912人。解雇されるのは多くがR&D要員とみられる。
桃園市労工局も先週、HTCから桃園工場における解雇計画書を受け取った。同工場の従業員は正社員、契約社員合わせて9,000人以上。
HTCは、解雇手当は労働基準法に従って支給すると説明した。
HTCは今月中旬に大規模な人員削減計画を発表した直後、米シアトル本部で47人を解雇した他、人数は不明だがサンフランシスコの設計部門従業員も解雇した。
上海工場、ほぼ全数解雇か
一方、中国メディア「IT時報」によると、HTCの上海工場(浦東新区康橋工業園区)は既に1カ月生産を停止しており、ライン作業員はほぼ全員に当たる500〜600人が解雇されたようだ。ある従業員は「残っているのは一部の管理職20〜30人だけ」と話した。同報道についてHTCは「上海工場はまだ稼動している」とのみコメントした。
ペガトロンが受け皿?
HTC上海工場の従業員によると、同工場で解雇された従業員の半分は、電子機器受託生産大手、和碩聯合科技(ペガトロン)の上海子会社、昌碩科技に雇用されたという。先日、昌碩科技の車が同工場入り口まで乗り付け、従業員に対しHTC以上の厚待遇を提示している姿も目撃された。アップルの最新スマホ「iPhone6s」生産を急ぐための求人の一環とみられる。ペガトロンは「昌碩科技は通常の求人を行っている」とのみコメントした。
工場売却説も浮上
また、HTCは上海工場をペガトロンに売却することを検討しているとの観測が浮上した。これについてペガトロンは「聞いたことがない。重大な投資案件があれば規定に従い正式発表する」と回答した。
HTC上海工場をめぐっては、これまでに売却に向け中国メーカーと協議しているとの市場観測も持ち上がったが、HTCは先日「ノーコメント」としていた。今回新たにペガトロンが有力売却先として浮上した格好だが、証券会社は、ペガトロンは上海以外に昆山(江蘇省)、重慶にも工場を持ち、現時点ではHTC上海工場を買収する可能性は低いとの見方を示した。
スマホ業界、世界中で人員削減
業績悪化を受け大規模な人員削減に踏み切るスマホ関連業者はHTCだけでない。マイクロソフトは世界で最大7,800人、クアルコムは4,500人、中国の聯想集団(レノボ)は3,200人、パナソニックは携帯電話などに使うリチウムイオン電池を生産する北京工場を9月に閉鎖するのに伴い、従業員1,300人を解雇する方針だ。
香港の市場調査会社は、北米、欧州、中国のスマホ市場が飽和へ向かい、需要鈍化、低価格の中国ブランド参入で在庫が大幅に増えており、スマホ関連業者に不利な局面が形成されつつあると指摘した。
市場調査会社、IDCの予測によると、今年の世界スマホ出荷成長率は前年比10.4%と、昨年(27.5%)の半分以下となり、世界最大の中国スマホ市場でも今年の出荷成長率は1.2%へと昨年(19.7%)から一気に落ち込む見通しだ。
米市場調査会社のフロスト&サリバンは、スマホ産業は今後も多くの難題に直面し、人員削減がさらに相次ぐ可能性があると予想。次の焦点はソニーがスマホ事業をどう処理するかだと指摘した。
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